というわけで今回は在職老齢年金の基本的な給付事例を見ていきましょう。
1.昭和32年6月17日生まれの女性(今は61歳)
●(令和元年度版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!(参考記事)
20歳になる昭和52年6月から昭和59年3月までの82ヶ月は昼間大学、大学院に通ったが学生は国民年金には強制ではなかった為に国民年金には加入しなかった。この82ヶ月はカラ期間になる(年金受給資格の10年に組み込むだけで年金額には反映しない)。昭和59(1984)年4月から60歳前月の平成29(2017)年5月までの398ヶ月は厚生年金に加入。
なお、昭和59年4月から平成15(2003)年3月までの228ヶ月の平均給与(平均標準報酬月額)は29万円とします。平成15年4月から平成29年5月までの170ヶ月の平均標準報酬額(給与と賞与を合計して平均したもの)は36万円とします。
さて、この女性は60歳から厚生年金が貰える生年月日なので、老齢厚生年金額を算出。
● 厚生年金支給開始年齢(日本年金機構)
- 老齢厚生年金額(報酬比例部分)→29万円÷1,000×7.125×228ヶ月+36万円÷1,000×5.481×170ヶ月=471,105円+335,437円=806,542円(月額67,211円)
が貰える。
しかし、この年金額では生活が厳しいので、女性は60歳以降も厚生年金に加入して継続して働く事にした。60歳以降の雇用は給与が60歳前より低くなる事が多く、この女性の給与月額は32万円から25万円(標準報酬月額は24万円)に下がる事になった。賞与は7月と12月に30万円ずつ貰う。給与は60歳前より減るけど、65歳までは働き続けようと思った。60歳の翌月(平成29年7月)から年金が発生するが、年金が低くなっていた。
はい、お決まりの在職老齢年金が適用されていますね。
まず、月給与(標準報酬月額)は24万円、賞与(標準賞与額)は年間60万円(月換算で5万円)、年金月額は67,211円。
- 在職老齢年金による年金停止額→{(標準報酬月額24万円+月換算した標準賞与5万円+年金月額67,211円)-年金停止基準額28万円}÷2=38,606円(月年金停止額)
つまり、月々の年金額67,211円から38,606円を引いた28,605円が支払われる年金月額になるという事です。だから、月の収入自体は給与25万円と年金67,211円の合計317,211円となると思っていたら、25万円+28,605円=278,605円となるわけですね。
働いたせいで年金が少なくなるという事になりますが、現役の頃とそんなに変わらない給与が貰えるなら年金を一部または全額カットしますという事です。









