じゃあ働くと全く損なのかというとそうではなく、もちろん働いた分は年金額として増額になる。例えば60歳到達月である平成29(2017)年6月から令和3(2021)年3月31日までの46ヶ月働いたとします。
(標準報酬月額24万円×46ヶ月+賞与30万円×8回)÷46ヶ月=292,173円(平均標準報酬額)
- 退職による年金額の再計算(年金の退職改定)→292,173円÷1,000×5.481×46ヶ月=73,664円
の年金増額になる。だから、退職日の翌月である令和3年4月以降の老齢厚生年金総額は
- 806,542円+退職改定による年金増額73,664円=880,206円(月額73,350円)
退職後は年金の在職による停止は一切無くなる。年金を貰いながら在職中は年金が停止されますが、退職した時に年金が増えるから長い目で見ると年金が増えます(そうじゃない場合もありますがこの記事では割愛)。
最後に65歳時の年金額を算出。65歳になると国民年金から老齢基礎年金も発生する。この女性は国民年金保険料納めた期間はないですが、20歳から60歳までの厚生年金期間は国民年金にも同時に加入してるから、老齢基礎年金が出る。
- 老齢基礎年金額→780,100円÷480ヶ月(20歳から60歳までの期間)×398ヶ月(20歳から60歳までの厚生年金期間)=646,833円
老齢厚生年金は880,206円でしたが、60歳以降も働いた事でもう少し年金が増える。
老齢基礎年金は国民年金強制加入中である20歳から60歳までの480ヶ月でしか計算しませんが、厚生年金は20歳前や60歳以降(最大70歳まで)も加入できるので、国民年金との差額を補うための年金(差額加算または経過的加算という)がある。
- 老齢厚生年金(差額加算年金)→1,626円(平成31年度定額単価)×444ヶ月(全体の厚生年金加入期間)-780,100円÷480ヶ月×398ヶ月(20歳から60歳までの厚生年金期間)=721,944円-646,833円=75,111円
よって、65歳からの年金総額は
- 老齢厚生年金(報酬比例部分880,206円+差額加算75,111円)+老齢基礎年金646,833円=1,602,150円(月額133,512円)
これが65歳前に在職する人の停止額でした。
今回は65歳後の在職老齢年金も示したかったのですが、ちょっと長くなったので今日はここまで^^;
※追記
65歳前に退職して退職月の翌月から年金額が増額(年金の退職改定)してますが、退職しなくても65歳到達すると一旦年金の再計算を行う(65歳到達時改定)。
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