韓国のシステムでは迎撃困難。専門家が見た北朝鮮の発射ミサイル

 

この日は、金委員長の肉声演説の披露だけではなかった。一度も公開されることのなかった大陸間弾道ミサイルKN-08が公開されたのである。推定射程距離が最大12,000km、アメリカ本土を脅かすICBMの登場だった。以後キム・ジョンウン委員長は、核とミサイル開発を先代の遺訓と強調しながら露骨な歩みを続けていく。

労働ミサイルと新型放射砲など中短距離ロケットを相次いで発射し緊張を造成するかと思えば、2015年5月にSLBMと呼ばれる潜水艦発射弾道ミサイル北極星1型の試験発射を強行し、2016年3月にはミサイルに搭載する核弾頭の小型化を誇示するまでに至った。

「わが祖国が、どんな強敵も絶対にちょっかいが出せない東方の核強国、軍事強国に躍り上がったのだ」(キム・ジョンウンの2017年新年の辞)

2017年、キム・ジョンウン委員長は大陸間弾道ミサイルICBMの完成に向けてまさに暴走した。5月と7月には、火星-12型と火星-14型を順に打ち上げ、ついに2017年11月には大陸間弾道ミサイル火星15型の試験発射を国の核力の完成だと宣言した。

北朝鮮政権の悲願の核武力の完成を、執権6年目に成功させたキム・ジョンウン委員長。しかし最大の悲願を達成したという対外宣伝は同時に、それまで経験したことのない高強度対北朝鮮制裁に直面する結果をもたらすことになる。

北朝鮮の核・ミサイル挑発が最高潮に達した2017年には、国連安全保障理事会の決議案も出た。北朝鮮の外貨稼ぎの最大の稼ぎ頭である石炭の輸出が禁止され、海外労働者の新規送出も完全に禁止された。史上初めて石油製品の制裁がなされ、繊維製品や食品、農産物、電気機器の輸出も順次全面遮断された。前例のない強硬な措置が多数含まれた決議案は歴代最強と評価された。

「非核化対話に出てきたのも、金正恩書記から見るとき、白頭血統という金氏体制を維持をするためには、そのような圧迫やマックスのプレッシャーがあまりにも脅威に感じられたのでしょう」(イ・ホリョン/韓国国防研究院研究委員の言)

「制裁があまりにも累積的に強化されたため、ある時点に至ればこの制裁が最終的には政権を脅かす短剣になるはず。結果的に、北朝鮮は小さな戦いには勝ったかもしれないが過去30年の大戦争には最終的には負ける、私はそのように見てる」(キム・ジンム/淑明女子大国際関係大学院教授の言)

「我々の自主権および尊厳、生存権を脅かすいかなる勢力も、いささかの容赦もなく、即反撃を加える英雄的朝鮮人民軍の堅固な意志を誇示した訓練は、胸がすっきりするほど見事に終わった。」(朝鮮中央TV / 5月4日の放送から)

 

北朝鮮当局は、今回の2回のミサイル発射を、正常かつ自衛的な軍事訓練と規定している。

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