NYで「実店舗」復活ムードを牽引する「ブルティン」成功の秘密

 

(3)徹底した女性支持の姿勢

現在、ブルティンは、ブルックリンのウィリアムズバーグ、マンハッタン内のノリータと旗艦店であるユニオン・スクエアの3店舗ある。取り扱う商品は、いずれも女性起業家や女性デザイナーが作った品々が中心だ。

女性の自立や男女平等に関するメッセージ性の高いものが多く、商品を買いにいくというより女性の自立博物館にでも入ったような気分になるほど、その1つ1つが考えさせるもの多めとなっている。

また、店員もすべて女性。しかも、ユニオン・スクエア店は、その出店時に設計などを依頼した建築業者も女性が中心の建築事務所だったというほどの徹底ぶり。

さらに、売上の10%は、中絶手術や避妊薬処方、性病治療などを非営利で行っているNPO団体のプランド・ペアレントフッド・ニューヨーク(Planned Parenthood of New York)に寄付される仕組みで、様々な形で女性を支援しているのである。

徹底した女性のための小売店を支持するのもまたその多くが女性で、店内を訪れている客の多くが女性だが、男性客ももちろん訪れている。

ちなみに、店を訪れる客は、単にファッション・アイテムを購入するのではなく、ブルティンで商品を買うことで、それぞれがアイデンティティを確認し、それによる自己表現を楽しんでいると考察されている。

ご参考:Feminist startup Bulletin is reinventing brick and mortar retail

上述したように現在ブルティンは、ニューヨーク市内に3店舗を構えているが、もともとは、当時23歳のアリ・クリーグスマンと同僚のアラナ・ブランストンの二人の女性がはじめたEコマース型のオンライン・マガジンがはじまり。

いわゆるショッピング・マガジンだったが、商品の売れ行きは悪く、コストをギリギリまで抑えても給料も支払えないような状況だった。

そんな中、ショッピング・マガジンで商品を販売するのは、資金の乏しいスモール・ビジネスのオーナー達で、本業を別に持ち、副業として手作りの品を販売する者が多いことに気づく。

彼らのニーズを分析したところ、オンラインではなく実際にお客が商品を手にとれる小売店でも販売したいというニーズがあることがわかった。しかし、通常の小売店では出店でお金がかかるなどスモール・ビジネスのオーナーたちにとっては敷居が高かったため、最初は、比較的お金のかからない週末に開催するフリーマーケット形式の小売をアリとアラナの2人で主催することにした。

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