戦後人気だったある職業に就いてた人は年金受給額が高くなる

 

さて、この男性は62歳(平成31年3月受給権発生の翌月分から年金発生)から老齢厚生年金が発生します。

厚生年金支給開始年齢(日本年金機構)

その前に厚生年金期間の整理をします。

昭和54年5月から昭和61年3月までの83ヶ月は3分の4倍にして、110.6ヶ月とします。昭和61年4月から平成3年3月までの60ヶ月間は5分の6倍にして72ヶ月にします。平成3年4月から平成4年3月までの12ヶ月間は実期間。民間企業で50ヶ月。合計加入期間は244.6ヶ月となる。

なお、110.6ヶ月の1ヶ月未満の端数は、年金を支給する時に1に切り上げて111ヶ月にして支給する。だから全体の厚生年金期間の244.6ヶ月は245ヶ月となる。

これで老齢厚生年金を計算する。

  • 62歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分)→40万円×7.125÷1,000×111ヶ月+42万円×7.125÷1,000×72ヶ月+44万円×7.125÷1,000×12ヶ月+28万円×7.125÷1,000×50ヶ月=316,350円+215,460円+37,620円+99,750円=669,180円月額55,765円

65歳まではこの年金額が続く。

じゃあ65歳からの年金総額を計算します。老齢厚生年金の報酬比例部分はそのままの金額ですが以下が加算。

  • 老齢厚生年金(経過的加算または差額加算ともいう)→1,626円(令和元年度定額単価)×245ヶ月(割り増しされた厚生年金月数)-780,100円÷480ヶ月×(155ヶ月+50ヶ月)=398,370円-333,168円=65,202円

いつもは差額加算は数百円とか数十円とか微々たる金額の事が多いですが、過去の船員期間を割り増してるので結構高い金額になった。

  • 国民年金からの老齢基礎年金→780,100円÷480ヶ月×(保険料納付済み期間→1ヶ月+83ヶ月+60ヶ月+12ヶ月+50ヶ月+151ヶ月)=580,199円

※注意

国民年金の基礎年金を計算する時は厚生年金のように3分の4倍したり、5分の6倍したりしてかさ上げしない。実期間で計算。厚生年金期間を特例的に優遇してるので国民年金まで優遇しませんという事です^^;

  • 付加年金→200円×151ヶ月=30,200円

よって、65歳からの年金総額は、

  • 老齢厚生年金(報酬比例部分669,180円+差額加算65,202円)+老齢基礎年金580,199円+付加年金30,200円=1,344,781円月額112,065円

※追記

この男性の厚生年金期間の実際の期間は155ヶ月+50ヶ月=205ヶ月ですが、船員期間による加入期間のかさ上げで245ヶ月(20年以上)となってるため、65歳時に65歳未満の生計維持してる配偶者が居れば配偶者加給年金390,100円も65歳時に加算される。

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
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