日本は活かせるか?安倍首相イラン訪問で広がった外交的チャンス

 

そして今、安倍総理大臣はテヘランに赴き、12日夜にはロウハニ大統領と、そして13日には、なかなか外国のリーダーと面談しないと言われている最高指導者ハーマネイ師と会談したことから、メディアを通じて報じられるイラン国民の期待は低いものの、イラン政府側の期待の高さが窺えます。

表向きは『アメリカとイランの間で高まる一方の軍事的な緊張を和らげるための仲介役』を期待されてのテヘラン訪問とされていますが、実際には、日本はちゃんとPlayerとしてイランと向かい合っていることに、ほとんど気付いていません。

ロウハニ大統領とは国連総会の度に会談していることから日本とイランの外交関係は強固なものですし、今回の訪問におけるロウハニ大統領との会談後の記者会見でも、日本がイランと独自にPlayerとして接していることが窺えます。

アメリカとの間で高まる緊張に対して懸念を示し、戦争からは何も生まないというように『仲介者』としての面子は保ちつつ、ロウハニ大統領の口を通じて、日本はイランからの原油買い付けに関心があり、イランとの経済関係の発展に関心が高いことが示されています。 5月1日付で、アメリカは、同盟国に対してイラン産原油の禁輸を呼びかけ、追随するように要求しており、日本もそれを受け入れていますが『仲介』の任を負うにあたり、ただ長年の友人というだけでなく、イラン政府にとっても日本の仲介を受け入れるための要素がないといけませんから、日本サイドから(そしてアメリカからも)表立った発言はないですが、何かしらの経済的なディールの可能性を見て取れます。

それは、日本、アメリカ、イランがもつそれぞれのInterestsが背後にあります。日本としては、原油の有力な調達先を確保しておきたいというInterestがありますし、イランとしては、収益の源泉となる関係をキープしたいというInterestもあります。 そしてアメリカにとっては、イランを威嚇し続け、ペルシャ湾に部隊を展開してプレッシャーをかけつつも、大統領選挙を控えて今、中東地域全体を火の海にしかねないイランとの開戦は絶対に避けたいとのInterestがあります。

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