赤っ恥の安倍外交。米イラン「仲介失敗」を絶対に認めないお友達

 

そもそも、なぜ安倍首相が米国とイランの緊張緩和の“仲介役”ということになってしまったのだろうか。

おそらく、明確に“仲介役”と日本のメディアが囃し立てはじめたのは、来日したトランプ大統領の発言がきっかけだろう。

トランプ米大統領は27日午前、日米首脳会談の冒頭、安倍晋三首相からイラン訪問の意向を伝え聞いたことを明らかにした上で「首相はイランの指導者と非常に密接な関係にある。どうなるか見極めたい」と述べ、核問題で対立する米国とイランの仲介役としての首相の役割に期待感を示した。
(5月27日産経ニュース)

トランプ氏の「どうなるか見極めたい」が、記事の執筆者によって「仲介役として期待しているという意味に置き換えられている。6月5日の日経新聞には以下のような記事が掲載された。

(イラン)訪問は5月25~28日にトランプ米大統領が来日した時に固まった。5月26日夜、東京・六本木の炉端焼き店での首相とトランプ氏の夕食会。トランプ氏が首相に「ところでイラン情勢のことだが…」と切り出した。「日本とイランとの友好関係は知っている。シンゾウがイランに行くつもりなら急いで行ってきてほしい。私は軍事衝突を好まない」。

こちらは、トランプ大統領が安倍首相に仲介役を依頼したかのような書き方だ。酒の席における首脳どうしのこんな会話を誰がリークするのだろうか。ただし、首脳会談冒頭の公式なトランプ発言をもとに作文してもクレームが出ない程度の内容ではある。

海外メディアで、「仲介」と位置づけて安倍首相のイラン訪問を報じたところもごく少数はあったが、仲介役フィーバーに酔っていたのはもっぱら日本メディアと安倍応援団とされる識者たちである。

ジャーナリスト、長谷川幸洋氏は「日本外交は新たな次元へ」と題し以下のように書いた。

「ついに、ここまで来たか」と思った。…先日の日米首脳会談だ。…私がもっとも感慨深く受け止めたのは、日本が「米国とイランの仲介者」になった点である。…これまで日本は国際社会で仲介者のような立場に立つのは、極めてまれだった。…それが、安倍晋三政権の下でようやく実現した。…まさしく安倍・トランプ関係の親密さゆえだ。首脳同士が信頼し合っているからこそ、日本は米国に意見も助言もできる。だから、イランが頼りにして、トランプ氏も首相の調整に委ねたのである。
(現代ビジネス)

イランからもトランプ氏からも頼りにされている安倍首相がいよいよ歴史的な外交成果をあげる時が来ると言わんばかりだ。これほど喜びが素直にあふれ出た論評も珍しい。

ニッポン放送の番組に出演した数量政策学者の高橋洋一氏も「日本が外交でこんなに出たことはないから、外交関係者は驚いているのではないでしょうか」と、期待感をにじませた。

しかし、現実はどうだろうか。仲介を頼んだとされるトランプ氏が、安倍首相とイラン首脳の会談の成り行きをかたずをのんで見守っていたのなら、イラン訪問中に追加制裁の決定などしないはずだ。

イラン訪問のさなかに起きたタンカー襲撃について、あれほど迅速にイランの仕業と決めつける発表をホワイトハウスがしたところを見ても、安倍首相の尽力に期待する風は微塵もない

そもそも、外務省、官邸ともに、安倍首相のイラン訪問で緊張が鎮まるとは誰も思っていなかったのではないか。

国政選挙を前に外交パフォーマンスで点数を稼ぎたいというのが安倍首相の本音であって、トランプ氏はそれに友人として協力する思いでイラン訪問に賛成したのかもしれない。

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