MAG2 NEWS MENU

6割の企業が抱える社員のメンタルヘルス問題。解決の糸口は?

6割の企業にメンタルの問題を抱えている社員がいるという現在、その対策や解決を当事者だけに求めていたのでは、もはや立ち行かなくなることが目に見えています。このような状況をどう改善してゆけばいいのでしょうか。今回の無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、現代の企業ならではのメンタルヘルスの問題点、そして国が講じる対策等を紹介しています。

メンタルヘルスの現状

「身体が頑丈」「賢い」そんな人がほしい。昔の求人ならそれでOK!でも、今日は、世の変化に適応できる力が要請される時代。経済・産業のグローバル化、IT化…。この産業の変化は「ハイパー・チェンジ・エイジ」「超高速変化時代」と表現され、我々は、これまでの経験に照らして対処法を考えることが、困難な未経験の変化を抱える新時代にいるのだといえる。

そんな時代の職場では、メンタルヘルス問題が増え続けている


新米 「メンタルヘルスの研修に行って来ました!」

大塚 「おっ、お疲れさん!どんな内容だった?」

新米 「まず、厚労省が5年毎に実施している『労働者健康状況調査』の結果で、ストレスの原因統計の話でした。平成24年の統計ですが、職業生活に関してストレスを感じているのは、60.9%。ストレスの主な原因は、

  1. 職場の人間関係 41.3%
  2. 仕事の質の問題 33.1%
  3. 仕事の量の問題 30.3%

ということです」

大塚 「大雑把な統計ねー」

新米 「はい、確かに。でも、まずは総論からということで…。6割の企業でメンタルの問題を抱えている正社員がいる、その人数もどんどん増えているということです」

大塚 「業種の統計はあった?」

新米 「はい、ありましたよ。え~っと、『医療・福祉』が76.6%、『情報通信業』が73.0%、『製造業』が67.9%、精神労働を要求される援助職納期に追われるIT関連でのメンタルヘルス懸念が大きいそうです」

E子 「やっぱりねー、なんか最近、またまた時代が変わっていきそうで怖いんよねー。これから、もっとメンタルヘルスの問題は大きくなりそうだわぁ」

新米 「どう変わっていくか見えない時代って感じですもんね。そんななか、最近の若者の傾向は、ストレス耐性の低下自立心の低下傾向があるとのことです」

E子 「ゆとり教育の影響による学力の低下や少子化による競争や衝突を経験してこなかったことがあるのかな」

新米 「そうみたいです。それから、幼い頃からIT機器が身近にあって、検索すればすぐに回答が出ることに慣れていて答えが検索できない職場に戸惑いや不安を感じているそうです」

大塚 「はー、なんでも検索すれば答えが出るわけないのにねー(笑)。んでもって、まずは国の対策は?」

新米 「職場の安全と衛生の確保という意味では、『労働安全衛生法』ですよね。その安全衛生確保措置のなかでも、『労働者の心の健康』対策が急務となった歴史の話がありました。2000年に『事業場における労働者の心の健康づくりのための指針』が策定、2006年の『労働者の心の健康保持増進のための指針』の話とか…」

大塚 「あー、『4つのメンタルヘルスケア』につながるのよね」

新米 「『労働者の心の健康保持増進のための指針』の中で示されているメンタルヘルスケアのことですね」

大塚 「そう、一つ目の『セルフケア』は、労働者自身で行うことのできるケア。働く人が自らのストレスに気付き、予防対処し、また事業者はそれを支援すること」

E子 「つまり、自分の健康状態を把握して、自発的な相談に来てもらったり、受療行動をとってもらうってことね」

新米 「二つ目は『ラインによるケア』は、管理監督者が行うケア。日頃の職場環境の把握と改善、部下の相談対応を行うことなど」

E子 「職場環境っていうのは、労働環境、方法、業務内容、労働時間、人間関係などのことね」

大塚 「三つ目は『事業場内産業保健スタッフ等によるケア』は、企業の産業医、保健師や人事労務管理スタッフが行うケア。労働者や管理監督者等の支援や、具体的なメンタルヘルス対策の企画立案を行うことなど」

E子 「職場環境の把握と評価、改善への助言と業務範囲が広くなるわね」

新米 「最後の四つ目は『事業場外資源によるケア』は、会社以外の専門的な機関や専門家を活用し、 その支援を受けることですね」

E子 「まとめると、そんな感じかな。産業保健総合支援センターや、精神保健福祉センター、保健所、医療機関、相談機関などで相談やカウンセリング、診断や治療、復職支援、教育にかかわってもらうことになるってこと」

新米 「この指針における留意事項は、

  1. 労働者自身がストレスに気づき、これに対するセルフケアの重要性
  2. 事業者による組織的かつ計画的な対策の必要性
  3. メンタルヘルスケアの推進におけるプライバシー保護と 労働者の意思の尊重
  4. 家庭・個人生活などの職場以外の問題と、職場の問題の相互関連性への考慮

ってことでしたー」

E子 「2002年頃から製薬会社とタイアップして『うつ病は薬で治る!』とキャンペーンを開始してから、うつ病やメンタルヘルスへの認知度が上昇したのよね。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という抗うつ剤が国内販売されたことも原因だそうね」

新米 「へぇ~、そんなキャンペーンもあったんですか」


SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬) ~wikipediaから

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(英語: Selective Serotonin Reuptake Inhibitors, SSRI)とは、抗うつ薬の一種。シナプスにおけるセロトニンの再吸収に作用することでうつ症状、病気としての不安の改善を目指す薬。2009年5月現在、日本国内で100万人以上が使用していると推定されている。

 

旧来の三環系などと呼ばれる抗うつ薬は副作用があり、医者または患者によっては敬遠されていたことから、副作用を少なく・より選択的に作用することを目的として開発された。肝毒性、心・血管副作用や、鎮静作用、口の渇き・便秘など抗コリン作用が原因と思われる副作用は減少したが、セロトニン症候群、賦活症候群、SSRI離脱症候群(中断症候群)など旧来の抗うつ剤ではあまり報告のなかった副作用が発生している。

 

「選択的」とは他の神経伝達物質に比べ、セロトニンの再取り込み阻害作用のみでアセチルコリン等は阻害しないこと、ノルアドレナリン対セロトニン及びドーパミン対セロトニン比が大きいことを意味する。

image by: Shutterstock.com

イケダ労務管理事務所この著者の記事一覧

この日記をお読みくだされば、社労士及び社労士事務所の固いイメージが一変するかもしれません。 新米社労士が日々の業務・社会のルール等に悩み・悪戦苦闘する様子を中心に、笑いあり、涙あり、なるほどありの社労士事務所の日常を、ノンフィクション、フィクションを交えて綴ります。 水曜日のお昼休み、くすっと笑いながら、皆でお楽しみください。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 新米社労士ドタバタ日記 成長編 』

【著者】 イケダ労務管理事務所 【発行周期】 週刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け