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国交断絶も。韓国が思い知る、堪忍袋の緒が切れた日本の怒り

日本政府からの「ホワイト国」外しに対して「盗っ人猛々しい」と激しい言葉で非難し、報復として日本をホワイト国から除外するとした韓国の文在寅大統領。二国間を仲裁するとしていた米国も、匙を投げてしまったと伝えられています。なぜこのような状況となってしまったのでしょうか。そして今後の日韓両国と周辺国の関係性はどのような方向に進むのでしょう。メルマガ『国際戦略コラム有料版』の著者・津田慶治さんが、様々な要素を分析しつつ予測しています。

米国の仲裁はいつになるか?

日韓の紛争に仲裁に入ると米国務省高官が発言したと報道があり、しかし、行動はいつになるのであろうか?検討しよう。

日米株価

NYダウは、利下げ期待で、7月16日27,398ドルと最高値を更新したが、7月31日パウエル議長は、0.25%利下げでも継続的な利下げをしないとしたことで、失望売りが出て7月31日26,719ドル下げたが、その上に、8月1日、トランプ大統領が中国の残り3,000億ドル分にも関税10%UPを9月1日から行うとツイートし、8月2日26,485ドルまで下げた

日経平均株価は、2018年10月2日24,448円になったが、以後低調で、12月26日18,948円と暴落し、米国の利下げ観測で、7月19日に21,466円まで戻したが、米国の対中追加関税UPと1ドル106円の円高で8月2日21,087円と大幅な下落になっている。

米国は、市場の期待は、7月FOMCで0.5%利下げであったが、パウエル議長が継続的な利下げはないとの発言と、米中交渉で進展がなく、その報告を受けて、トランプ大統領が中国に残り3,000億ドル分にも10%関税を9月1日から掛けるとしたことで、市場はびっくりし、株価は大きく下落している。利下げ催促相場形成ではなく、トランプショック相場の様相になっている。その流れで、アジア圏も日経平均を含めて大幅な下落になり、特に、安川電機、太陽誘電などの中国関連株が下落している。

トランプ大統領は、パウエルFRB議長の0.25%利下げに不満であると明言したが、その裏には中国への関税UPがあったようである。しかし、そのことをFOMCでは予想できないので、利下げは後になるしかない。ということで、関税UP後の9月にも再利下げの可能性が出てきたことになる。というより、利下げをさせるために関税UPをした可能性さえ感じる。

今後の見通し

NY株価の動向は、1998年の株価動向と同じようなことになっている。この年は、8月と10月にダブル底になった。そして、現在、NY株には、ヒンデンブルグオーメンが点灯している。ボラティリティが急激に上昇して、ボラティリティ・ジャンプにもなっている。このジャンプは、暴落のサインでもあり、株投資をしている皆様は、注意が必要で、トレーディング・ストップを置いて売買することである。

今回の第4弾関税UPには、スマホやPCなどの電子製品や衣料・雑貨などの身近な消費財も含まれているので、インフレになることが確実であり、消費景気に影響してくる。景気を冷やす効果がある。特に9月は、年間で2番目に大きなバック・ツー・スクール・セールであるが、値上げになり消費が落ちる可能性がある。

それと、景気後退になると予想されて、コモディティが軒並み下落している。石油、銅などである。逆に金はリスクオフで上昇している。

中国は今、夏恒例の長老たちが現政権に意見する北戴河会議中であり、ここでの議論がわからないが、9月以降に中国の外交政策が変化する可能性がある。特に対米政策がどうなるのか、タカ派的かハト派的かが、大きな今後の方向を決めることになる。

タカ派的になると、米中貿易戦争は激化して、米国金利は下がり、ドル安円高にもなる。1月のフラッシュ・クラッシュの104円までの円高はあり得ることになる。円高になると株安になり、NY株価下落に合わせて、日経平均も下落することになる。2万円割れも想定できることになる。

しかし、米雇用統計は7月雇用者数が16.4万人増で賃金の伸びも加速して、順調である。景気後退を示す数値はない。このため、利下げを9月見送ると、パウエルFRB議長をトランプ大統領は辞任させて、政権に従順なブラード連銀総裁をFRB議長にする動きも出てくることになる。

世界の混乱要因が急増して、香港・台湾への中国の干渉、米中貿易戦争、日韓紛争、英国の合意なきEU離脱などが、経済悪化を助長する。そして、米国の景気後退が起きると、世界経済で唯一景気好調な輸入大国である米国の輸入量が落ちて、中国の景気が落ちていることで、ダブルパンチになり世界景気は悪化することになる。

しかし、悪いことだけではない。トランプ大統領も選挙戦に入るが、現時点で政権後の目立った成果がない。成果を作ること必要になり、米中貿易戦争での成果がない中、日米通商交渉で成果を作る必要になったことと、米国は唯一の味方である日本に対して、通商交渉でも強く当たらないで合意を急ぐ必要になった。このため、日韓問題でも米国は日本に同情的であり、通商交渉を促進した感じが出ている。

一番欲しいのは、中国が購入しない米農産物を日本にすぐに買ってほしいので、日本の農産物の関税を低くすることにこだわり、代わりに、自動車部品の米国関税をゼロにする方向で決着するようである。日本の自動車企業の米国生産を増やすのに、非常に良い結果になる。そして、デジタル課税を日本は見送るようである。

中東情勢

中東の有志連合に、ドイツは参加しないと正式に表明した。これでEU加盟国の参加はなくなった。現時点、有志連合に参加する国は、米国の日韓紛争での仲裁が欲しい韓国しかない

現時点では、日本も自衛隊をホルムズ海峡に派遣しないとしている。インドは、独自に派遣したし、ロシアとイランはホルムズ海峡周辺で合同演習をしている。勿論、イランは米国中心の有志連合を敵対視しているので、イラン核合意国は米国の有志連合に参加できない

しかし、米国はホルムズ海峡を通る艦船の護衛はしないし、自国の船を守るのは自国軍隊でしてほしいということであり、事態が悪化したら、日本も自衛隊の派遣を見送ることはできなくなる。

早く、中東原油からロシア産原油や米国産や豪州産原油に乗り換える必要が出ているし、エネルギー政策の変更が必要になっている。

エネルギーは、国民生活に必要不可欠な物であり、200日の備蓄だけでは難しい。戦争になれば数年中東原油が来ないことを想定するしかないからである。

それと、中東でも膠着状態になり、成果が必要であり、アフガニスタンから米軍の完全撤退を2020年10月までに行うとトランプ大統領は、明言した。

日韓紛争への米国仲裁は

北朝鮮へ韓国は、ホワイト国特権を利用して日本経由で高級車を送り出している。日本が韓国をホワイト国にしているから、このような事態になると米国のシンクタンクから警告を受け、かつ米国政府も日本の韓国へのホワイト国認定はおかしいとクレームを付けてきた。

しかし、韓国が中東の有志連合参加の条件に米国の仲裁を求めたことで、米国務省高官は仲裁を行うと8月1日朝に表明したが、8月1日の日韓外相会議で、韓国は徴用工賠償請求で譲歩を示さずホワイト国除外中止だけを日本に要求した。

日韓外相会議後、直ぐにポンペイオ国務長官は、河野外相と会見して会議内容を確認した。韓国が自国の徴用工賠償請求を取り下げた上でのホワイト国除外中止の要求ではなく、一方的な除外中止だけの要求であり、これでは米国は仲裁ができずにそのままになった。ここで韓国が賠償請求で折れれば、日本に除外中止を米国は要求できたが、そうではなかった。

このため、仲裁を行うとした米国務省高官も日韓の対立に対して、「米が間に入ってもよい成果得られないと匙を投げてしまった

前回、慰安婦の問題で、米国は日韓の中に入り仲裁して、日本に譲歩を求めて10億円を拠出させて財団を作り、永久的解決をしたはずが、韓国は、その仲裁結果を反故にしているので、米国は再度、同じような仲裁ができないし、反故にされた結果を日本から言われ、韓国との仲裁が難しいことを知っている

そして、8月2日午前に日本は、閣議で韓国の「ホワイト国」除外を決定した。8月2日午後に日米韓3ケ国外相会談を行うが、この時点では、日本は、韓国をホワイト国除外した時点になる。米国高官の仲裁表明を日本は無視して、韓国をホワイト国除外することについて日米間で話ができていたようだ。菅官房長官も米国からの仲裁を聞いていないとした。

そして、8月2日午後に、文大統領は、上から目線で日本を「盗人猛々しい」と非難して、韓国は反撃すると宣言した。日韓の紛争は、次の段階に入った。韓国の自主努力で日本を打ち負かすということであり、日本は見ているしかない。

このため、これ以上の対抗措置をしないという米国の措置停止という提案には、韓国がホワイト国除外の対抗策を打てなくなる。このため、韓国は飲まないので米国は仲介もしなかった。二国間の話し合いをしてほしいという言葉だけであった。

ということで、残念ながら、米国の仲裁はできないことになった

韓国は、日本を「ホワイト国」から外し、日韓軍事情報協定を解消することなどの対抗処置を打ち出した。しかし、韓国が取れる対応処置は限定的である、次のポイントは、韓国の日本企業資産売却に対して、日本も対抗措置を取り、何段か後に、輸出禁止処置や金融封鎖などの処置資産凍結などに向かうことになる。

現時点でも韓国の反日活動のレベルが高いが、今後、日本の制裁レベルが上がるので、それに対応した、今まで以上の反日活動が、どのような反日活動になるのか見物である。

しかし、反日活動のレベルが上がっても日本への影響は短期的には限定的で、それに比べて韓国経済への悪影響は、強くて広範囲になる。日本の堪忍袋が切れた状態がどうなるのか韓国は、思い知ることになる。

韓国が徴用工賠償請求で譲歩しない限り、日本は対抗処置を積み重ねることになり、韓国が日本への徴用工賠償請求を諦めて、米国に仲裁を頼んだ時に、始めて米国が仲裁できることになる。このため、最悪、国交断絶まで行くことも考えられる

国際的な取り決めを破棄することがいかに重いかを韓国に知らしめることが必要なのだ。そして、前回の米国の仲裁結果の破棄は、大きいことになっている。米国も仲裁ができないと知っている。交渉結果である条約の破棄や米国などの仲裁結果の破棄をする韓国とは通常の外交交渉はできない。このため、制裁を加えたうえで降参するまで放置するしかない。

米トランプ大統領も、WTOで韓国を途上国として優遇しているのはおかしいと、日本に同情を寄せて韓国を非難している。

というように、国際政治に韓国の厚い情熱感情は通じない。軍事や経済の実力の世界であるので、非情なものであることを思い知ることになる。信頼を喪失した国をだれも助けない。特に米国は煮え湯を飲まされているから、なおさらである。

その上、韓国は、領海侵犯したと、中露の合同演習中のロシアの爆撃機に警告として実弾360発を打ち、韓国の異常な行動に対して中露は怒っているし、一歩間違えると戦争になる所であった

また、北朝鮮も米韓合同演習を行うことで、警告の短距離ミサイルを韓国に向けて打ち出している。韓国の取り巻く情勢は最悪な状態になっている。

韓国が、日本や中国、ロシアなどと紛争を起こしていると、チャンスと北朝鮮が韓国に攻め入る可能性も排除できなくなる。この時は自衛隊が韓国国内に行けないので、補給などの自衛隊の援助なしには米軍も活動できずに、日米ともに韓国を助けることができない。補給なしで、韓国軍が自力で北朝鮮軍を排除するしかないことになる。

ということで、韓国は、諸外国への敵対が自殺行為であることを自覚するまで、韓国の状況は悪化することになると見ている。

さあ、どうなりますか?

image by: Liv Oeian / Shutterstock.com

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