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嘘も100回言えば本当の中国、歴史教科書に「尖閣は中国のもの」

徴用工問題に端を発し、国交正常化以来最悪ともいわれる最近の日韓関係。専門家はこのような流れをどう見ているのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、「感情よりも戦略を優先させるべき」としています。

中国「尖閣はわが国の領土!」と【教科書】で…

香港デモを焚きつける米国が引き起こしたい『第2次天安門事件』」は、中国政府が、「香港デモ=アメリカの仕業」と主張しているという話でした。最後に、こんなことを書きました。

「覇権にはかえられない!」と決意している勢力が、今のアメリカを牛耳っている。それは、トランプさんというより、昨年10月、中国に「宣戦布告演説」をしたペンスさんのグループなのでしょう。

 

いずれにしても、日本政府は、「今世界は戦争中」という認識を強く持ってほしいと思います。そして「戦術的」問題に深入りしないで欲しいです。

読者さんから、「『戦術的』問題に深入りしない」とはどういう意味ですか?と質問がありました。「戦術的問題とは要するに、「韓国問題ロシア問題」のことです。

もちろん徴用工問題も北方領土問題も、メチャクチャ大事です。「超大事」といえるでしょう。大事でも、「戦術的問題」なのです。なぜでしょう?

日本には領土問題が3つあります。ロシアとの間に北方領土問題がある。韓国との間に竹島問題がある。中国との間に尖閣問題がある。この三つ「同列」に扱われますが、本質的に違うものです。ロシアは北方4島を、韓国は竹島を実効支配している。だから、彼らは現状に満足しています(逆に、日本は不満足)。それで、日本とロシア、日本と韓国が戦争(戦闘)になる可能性は、「日本がしかける時だけ」に限られます。日本は、ロシアや韓国に戦争(戦闘)をしかけないでしょう?だから、日ロ、日韓と戦争(戦闘)になる可能性は、ほとんどありません。

しかし、尖閣問題は、質が全然違います。中国は尖閣を実効支配していない(そもそも日本領だし)。だから現状に不満で、「隙あらば奪ってしまおう!」という意欲がバリバリある。中国に関しては、「日本からしかけなくても戦争(戦闘)になる可能性がおおいにあります。だから、日本がもっとも警戒すべきなのは中国なのです。

そして、皆さんご存知ですね。中国は、日本を破滅させるべく、「反日統一共同戦線戦略」を主導しています。戦略の骨子は、

絶対完全証拠はこちら。

反日統一共同戦線を呼びかける中国

こんなのを見ると、日本最大の敵は中国であることがはっきりわかります。私は、中国人全部が悪いとはいいません。しかし、事実として習近平政権は「日本を破滅させるための戦略」をつくり、実行している。いくら平和を希求する私たちでも、対抗措置をとらなければならないでしょう。中国の戦略、簡単にいえば、

です。対する日本の戦略は、

そして、「反日統一共同戦線戦略を無力化し、尖閣、沖縄を守る」です。もちろん、日米、日ロ、日韓関係で、さまざまな問題がでてきます。しかし、戦略的に考えると、中国に勝つためにはこの3国との関係は良好に保つべきなのです。

もちろん、私も韓国の動きにはいちいち腹が立ちます。慰安婦合意をあっさり破ること、徴用工のこと、心臓も胃も痛くなります。ロシアについても、メドが北方領土をまた訪問と聞けば、腹が立ちます。

しかし、私は、日本を【戦勝国】にしたい。その為には、常に「感情」よりも「戦略を上におかなければならない。そういうことです。だから、「徴用工問題」も「メドの北方領土訪問」も、大事ではありますが、「戦術的問題」なのです。

戦術的問題にこだわると、韓国と断交、次はロシアと断交ということになります。それを一番喜ぶのは誰?そう、習近平ですね。

「ふぉふぉふぉ。愚かな日本人は、ワシの手のひらの上で踊っておるわい」

最近、日韓関係は、最悪。日ロ関係も、だいぶ冷えてきました。もちろん習近平は、幸せな気持ちでしょう。「戦術的な問題に深入りしないでください」というのは、そういう意味です。

長期ビジョンの中国

韓国は、ある面単純な国です。いつも日本を叩く。日本が反撃したら、大騒ぎして、国を挙げて「反日行動」をとる。わかりやすくて単純。

一方中国は、長期的で戦略的です。たとえば、1970年まで、「尖閣問題」は存在していませんでした。ところが、国連が調査したら、「尖閣の近海に石油がある」という結果がでた。それで、中国は、「じゃあわが国固有の領土にしよう」と決めた。泥棒ですね。

それでも、長い間尖閣が原因で日中関係が悪化することはありませんでした。問題が激化したのは2010年漁船衝突事件です。この時、中国は、「尖閣は我が国固有の領土であり核心的利益である!」と世界に宣言しました。そう、忘れてなかったのです。さらに、最近ではこんな情報がでています。

中国、高校の歴史教科書で尖閣の領有権強調へ

読売新聞オンライン 8/3(土)18:39配信

 

【北京=比嘉清太】中国で9月から使われる高校の歴史教科書に、沖縄県・尖閣諸島が古くから中国の領土であると強調する内容が記述される見通しとなった。中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報(英語版)が2日、伝えた。尖閣諸島の領有権に関する主張をさらに強化する狙いがあるとみられる。

「ウソも100回いえばホントになる」「ウソも教科書に載せればホントになる」ですね。

皆さん、今日本では「韓国バッシングで大盛り上がりです。「戦術的問題」で盛り上がりすぎて、「戦略的問題」を忘れないよう気をつけてください。「戦略的問題」とは、中国に関わることです。今注意しなければならないことは4つです。

  1. 「タンカー防衛有志連合」の要請を無碍に断って日米同盟が崩壊にむかう(参加すべきです)
  2. 北方領土を返さないロシアに感情的反応をし、日ロ関係がさらに悪化する
  3. 日韓関係がさらに悪化し、断交状態になる(東アジアは、中ロ北 対 日米韓 が対峙していますが、日韓対立で日米韓が分断されれば、中ロは大喜びです)
  4. 中国にだまされて接近しすぎ、米中覇権戦争で中国側について破滅する(常に アメリカ >>>> 中国であることを忘れないようにしましょう)

image by: 360b / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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