血中のアミノ酸濃度が筋タンパクの合成に効果的なのは間違いありませんが、別の観点から効果的な方法があります。それは合成ではなく、分解の方に着目をする方法です。つまり、綱引きにおいて、合成を強くするという発想ではなく分解を抑えようとする発想です。
ここで役立つのが糖質です。最も筋肉の分解が敏感なのが飢餓です。飢餓の歴史を背負っている私達人類の遺伝子は、飢えという情報にはとても敏感に反応をします。その筆頭が筋肉の分解です。
トレーニングは短時間にエネルギーを一気に消費する作業でもありますから、急激に訪れた飢餓状態のようなものです。当然、筋肉は分解を活発にしていきます。この飢餓の情報を速やかに修正してくれるのは、エネルギー源の中心でもある糖質ということです。
筋トレ直後のいわゆるゴールデンタイムに糖質だけを摂取した群と、タンパク質だけを摂取した群の比較で糖質だけの群の方が筋肥大したという報告もあるくらいです。つまり、綱引きにおいて、合成を強くするよりも分解を弱くする方が効果的であったということなのです。
そして当然のことながら、合成を強くしつつ分解は弱くするというパターンが最も効果的であるとういことになります。ゴールデンタイムには、ホエイプロテインだけでなく、MD(マルトデキストリン)などの糖質も同時に摂取してあげることで、最大限の効果が期待できるはずです。
これをベースとしたうえで、先の必須アミノ酸やペプチドの利用であったり、トレーニング前にも必須アミノ酸を摂取したり、トレーニング中にBCAAやCCDを摂取したり、という補強策が加わっていくイメージです。
最後に質問者の方の、ゴールデンタイムのプロテインが体感できないという点についてですが、これは当然のことかもしれません。元々、筋肥大自体が即効性をもって体感するものではないからです。
例えば、挙上重量が伸びるといったような現象は、トレーニングのビギナーには簡単に起こり得ます。これは神経系が発達することによるものなので、決して筋肥大が原因ではありません。
ゴールデンタイムは体感する類のものではないのかもしれません。体感するというよりは、数年かけてそこを意識した人としなかった人で差が出てくるのでしょう。今は体感出来ていないかもしれませんが、ゴールデンタイムは1日の中でも特に意識を高める価値があるシーンですので、継続することはマイナスにはならないと思います。
image by: Shutterstock.com