はい、ではこの女性は老齢の年金を貰う権利はあるのでしょうか。
貰うとすればこの女性は65歳から(普通なら60歳から貰える人ですが、厚生年金期間や共済期間が1年以上無いので65歳から。というか全く無いですね^^;)。
平成29年7月31日までの25年以上の原則に当てはめると、年金保険料納付済期間+免除期間+カラ期間≧25年(300ヵ月)となりますが、どうなのか。
まず保険料納付済み期間と免除期間は無し。過去に111ヶ月間厚生年金に加入してますが、脱退手当金として納めた保険料を精算してしまったから厚生年金には加入しなかったものと扱われる。
じゃあカラ期間というのがカギとなりますよね。カラ期間になるのは、この女性の場合は公務員の専業主婦で任意加入しなかった期間210ヵ月と、海外在住期間で任意加入しなかった期間104ヵ月の合計314ヵ月となって年金受給資格期間を満たす。
ちなみに、脱退手当金を貰った期間もよくカラ期間にはなるが、この女性の111ヵ月はカラ期間にはならない。カラ期間にしたいなら昭和61年4月以降に年金保険料を1ヵ月でも納めたか、免除期間が1ヵ月でもあるという事が条件となっている。カラ期間になるとすれば昭和36年4月から昭和43年6月までの87ヵ月(この女性はカラ期間にならないですけどね…)。
※注意
脱退手当金のカラ期間は昭和36年4月以降という事に気を付けなければいけない。ちなみに20歳未満の期間でも昭和36年4月以降ならカラ期間扱い。
というわけでカラ期間だけでなんとか300ヵ月を満たしてるから、年金を貰う「権利」はある。しかし、カラ期間はその名の通り「空」の期間なので年金額に反映しない。よって、65歳になっても支給される年金は0円。
ただ、この女性は再婚した夫(昭和24年8月生まれ)がいましたよね。夫が65歳になる平成26年8月になるとこの妻が居る事で配偶者加給年金(年額390,100円)が発生します。配偶者加給年金は配偶者(この場合は妻が)が65歳になるまで支給。
…ですが、妻はこの平成26年8月時点ではすでに71歳になっており、65歳を超えているから夫に配偶者加給年金は付く時がない。でも一応、配偶者加給年金から振り替えられた加算金である振替加算がこの妻のカラ期間による年金額0円に加算されて支給される。この女性の場合は振替加算を請求してもらわないといけない。
振替加算はこの女性の生年月日だと年額122,802円(月額10,233円。令和元年度価額)が平成26年8月の翌月である9月分から付く事になった。
● 加給年金と振替加算(日本年金機構)
自分個人で貰う年金はなかったですが、こういう加算金が付く時にはカラ期間が役には立ちましたね!^^
それでは今日はこの辺で。
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