さて、この男性は令和元年9月以降は年金額がさらに停止される事になりましたが、65歳になる令和2年6月12日で退職する。退職後は停止額はかからないし、65歳なので年金額が再計算される。まず、62歳以降も働き続けているのその分が増額となる。平成29年6月から令和元年8月までの27ヵ月間の平均標準報酬月額30万円で、令和元年9月から65歳前月の令和2年5月までの9ヶ月間の平均標準報酬月額32万円とします。
- 継続雇用で増額する報酬比例部分年金→30万円×5.481÷1,000×27ヵ月+32万円×5.481÷1,000×9ヵ月=44,396円+15,785円=60,181円
年金額を算出する際に、標準報酬月額は過去の貨幣価値を現在の価値に直すために再評価率というものを掛けますが、この計算ではすでにやったものとして話を進めます。
- 65歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分1,198,178)円+60,181円=1,258,539円
- 65歳からの老齢厚生年金(差額加算)→1,626円(令和元年度定額単価)×480ヵ月(差額加算を算出する際の厚生年金期間上限)-780,100円÷480ヵ月×444ヶ月間(20歳から60歳までの厚生年金期間。昭和53年6月から平成27年5月までの国民年金同時加入の部分)=780,480円-721,592円=58,888円
65歳時点で65歳未満の生計維持してる妻が居るとしたら配偶者加給年金390,100円。
- 65歳からの老齢基礎年金→780,100円÷480ヵ月×466ヵ月(任意加入22ヵ月+20歳から60歳の間の厚生年金期間444ヵ月)=757,347円
よって、65歳からの年金総額は、
- 老齢厚生年金(報酬比例部分1,258,539円+差額加算58,888円)+配偶者加給年金390,100円+老齢基礎年金757,347円=2,464,874円(月額205,406円。偶数月に前2ヶ月分410,812円)
まあ、年金貰いながら働いた事でその時の年金は停止されたりしましたが、退職して年金貰う時はその分年金額がアップする事になりましたね^^ちなみに65歳以降も在職すると停止がかかったりしますが、あくまで停止がかかるのは老齢厚生年金の報酬比例の年金のみ。老齢基礎年金や差額加算、加給年金は停止されない。ただし、老齢厚生年金(報酬比例部分)が在職によって全額停止になる場合は、加給年金も全額停止になる。
※追記
65歳以上で年金年額158万円以上貰える人は課税対象となり、翌年2月以降の源泉徴収税額が引かれる場合がある。課税対象者は令和元年9月に扶養親族等申告書が送られている。この男性の場合はいくら源泉徴収されるのか?年金2ヶ月分で計算。
まず基礎控除を算出する。
- 基礎控除→年金2ヶ月分410,812円×25%+65,000円×2ヵ月=232,703円
ただし、65歳以上の人の基礎控除は最低月額135,000円使えるので、2ヶ月分だと27万円となりこの27万円を基礎控除として使う。配偶者の妻は所得が48万円から95万円の間にあるものとします。配偶者控除2ヶ月分65,000円。
- 源泉徴収税額(所得税)→(年金2ヶ月分410,812円-基礎控除27万円-配偶者控除65,000円)×5.105%=3,870円
が毎回年金が支払われる時に源泉徴収される。なお、今年の扶養親族等申告書からは提出を忘れても基礎控除が適用され、さらに高い税率ではなく5.105%で計算する事になった。配偶者控除や障害者控除などの控除を使える人は申告書を出さないと使えない。
あと、65歳以上になると社会保険料や個人住民税は年金からの天引きになるので、その点も留意しておく必要があります。
※表記に間違いがあり一部訂正しました。( 2019年10月18日)
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