「お体ご自愛ください」「関係者各位様」「故障中」「通常通り」などの言い回しは、ビジネスメールなどで普段何気なく使っていることが多いものです。ところがこれらを「すべて間違っている」と指摘するのは、無料メルマガ『神垣あゆみメールマガジン』の著者・神垣あゆみさん。神垣さんは今回の記事で、なぜ間違っているのか解説するとともに、正しい表現を紹介しています。
間違いやすい言葉 お体ご自愛ください
暑中見舞いや残暑見舞いの最後に添える一文に
「お体ご自愛ください」
とありますが、「自愛」というのは「自分自身を大切にする」こと。つまり、「ご自愛ください」だけで「お体に気をつけてくださいね」という意味合いが含まれています。
ですから「お体」の代わりに
「暑さの折、ご自愛ください」
「くれぐれもご自愛ください」
とするか、「ご自愛」を使わず
「暑さの折、お体を大切に」
と結ぶこともできます。これに関連して、うっかり書いてしまいがちなのが「連日暑い日が続きますが」です。
この一文は「連日」と「暑い日」の「日」、「連日」と「続きますが」という同じ意味の言葉が重なっていますね。
「暑い日が続きますが」
「連日暑いですが」
に「ご自愛ください」が続くと、結びの文として収まりがいいです。
もう一つ。メールや手紙、文書関連でよく目にするのが「各位殿」「各位様」。当メルマガでも何度か取りあげましたが、「各位」で敬称を表すので、「殿」や「様」は不要です。「関係者様各位」としなくても「関係者各位」で敬称を表します。
間違いやすい言葉 通常通り
自動販売機の張り紙で見かける「故障中」。「故障」は、機械などに不調が生じ、円滑に働かなくなるという“状態”を示す言葉なので、その状態にあることを表す「中」と意味が重なります。ですから、「故障」とすればよく、本来「中」は不要です。
上記のように“状態”を表す言葉として「通常通り」も意味が重なる言葉ではないか、と読者のかたから質問をいただきました。
辞書で意味を調べると「通常」は、特別の事情がなく、いつもどおりであることを表す、とありました。「通常通り」の「通り」は、そのままであることを表します。
「通常」自体に「いつも通り」という意味合いが含まれるので、「通常通り」の「通り」は意味が重複していることになります。
「通常通り営業しております」という一文は「通常と変らず営業しております」または「いつも通り営業しております」「平常通り営業しております」と書き換えるのが適切ではないでしょうか。
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