被災時にも助け合える。ベーコン作りが育んだコミュニティの絆

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自然災害が続発する今、重要視されているのが新たな防災マニュアルの作成。それと同じく、きちんとマニュアルが動く「生きたコミュニティーの形成」も急務だと指摘するのは、マンション管理士の廣田信子さん。廣田さんは今回、自身の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』で、「キーマン」によるベーコンづくりが住民の絆を繋いだ事例を紹介しています。

コミュニティづくりのきっかけは「キーマン」の趣味?

こんにちは!廣田信子です。

台風15号、19号の直後でもあり、自分のマンションではいざというときに助け合えるのだろかと不安の声を聞きます。

あるタワーマンションの元理事の方がいいます。

行政から言われて防災組織もマニュアルもつくったのに、台風19号の最中で、浸水の心配が報道されていてもだれも状況を確認に1階に降りてこなかった。管理員さんが土嚢の準備をしているのを誰も手伝っていなかった。今回は、大きな被害はなかったけどこんな状況で、ほんとうに大災害が襲ったときに大丈夫なんだろうか…と。

普段から、お互いの顔が見え、いっしょに何かをする仲間意識が育っていないとどんなに防災組織という形をつくっても機能しないというのは、災害が起こる度に確認されていることです。

では、どうやっていざというときに助け合えるコミュニティをつくっていけばいいのか…悩んでいる管理組合は少なくないと思います。特に、何でも管理会社がやってくれるのが当たり前の行き届いたマンションほど、特に困ったことがないためコミュティの必要性を理解してもらうのがむずかしいのです。コミュニティづくりに悩んでいる理事さんから、よく質問を受けますが、この回答が難しいのです。Aマンションの成功例が、そのままBマンションに当てはまらないからです。

やはり、コミュニティが自然に形成されていくには、キーマンの存在が欠かせません私のところでは、「ベーコンづくりがコミュニティ形成に大きな役割を果たしていますが、最初、話を聞いたとき、実は、何でベーコンなの?こんな、下準備にも、当日の燻煙にもすごく時間も手間もかかる企画に人が集まるのかしら、続くのかしら…と内心思ったことを今は深く反省しています(笑)。手間暇かかる企画に自分の都合に合わせて参加できることが魅力なのです。

しかも、手作り、無添加のベーコンという成果物を持ち帰ることができ、家族に食べさせたり、友人におすそ分けができます。それも会話につながります。で、家族においしかった、また食べたいと言われると、また参加しようと思いますし、次回は自分も参加したいという友人が出て、仲間も増えていきます

今回は都合が悪いから、ベーコンだけほしい…もOKですし、他のマンションの方もウェルカムなので、つながりは近隣にも広がっていきます。完成までの時間が長くて、いろいろな作業があるからこそ、いろいろな人と会話や共通体験ができ、自然に顔見知りの輪が広がっていくのです。で、どんどん「ベーコンづくり」のプチ先生が育っています。

そんな魔法のようなベーコンつながりですが、何でベーコンなの?の答えは、ベーコンづくりという趣味を極め、しかも、人のお世話をすることをいとわないキーマンが存在したからです。たまたま、そのキーマンがいたから「ベーコンづくり」なのです。

何だ~じゃあ参考にならないじゃない…と思われるかもしれませんが、そんなことはないのです。「ベーコンづくり」だったのは、たまたまですが、何かの趣味を極めそれで人のお世話をしたい人の役に立ちたいと思っているキーマン」は、きっと、どのマンションにもいらっしゃいます。

その「たまたま」をうまく活用できれば、どこでも可能なはずです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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