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優秀な子は「読み方」が違う。東大タレントが教える読書法3選

皆さんは最近、何か本を読みましたか?ここ数年、出版不況が叫ばれて久しいですが、実は毎年、平均7万5000点以上もの新書が出版されていて、毎年わずかながら増えているんです。その反面、発売部数は減少しているといいますから、やはり出版不況と言わざるを得ませんね。たくさん本を読む人、全く本を読まない人、様々なタイプの人がいると思いますが、メルマガ『木村美紀が明かす家庭教育の秘策』の著者で東大タレント・木村美紀さんは、冊数よりも「読み方」が重要であると分析。特に子供時代に3つの点で工夫して読む癖をつけておけば将来有能な大人になる可能性が高い、と結論づけています。

読書の際にクセづけるべきポイント3点

さて、今回のメルマガでは「読書をするときに意識して習慣づけたい3つのポイント」をテーマにお送りしたいと思います。小さい頃に、どんな本を、どれだけの数、どのように読んだか?は、大きくなってからの学習法に大きな影響を及ぼします。読書の習慣が、ゆくゆくは学習の習慣へつながってくるのです。

読書をすると一言でいっても、そのやり方は人それぞれ。どんな読書の仕方をしていたら良いか意識しながら読むことが大事ではないでしょうか。私が考える「読書をするときの3つのポイント」を書いてみます。

(1)読む本の数を増やすより、今の自分にとって最適な本を絞って読む

本を1日1冊読むとか、本を1年で300冊読むとか、そういった冊数の具体的な目標があるのは素晴らしいことです。本が大好きで気付いたら1年で200冊を超えていた、みたいな人は読書が大好きなんだろうなと尊敬します。ただ、冊数だけにとらわれて、ひたすら数を稼ごうとして自分に合っていない本をただただ読み漁ろうとするのは、ちょっと違うかなとも思う訳です。

もちろん理想なのは、読む本の数も増やして、かつ、自分に最適な本を読むというように、量も質も、どちらも重視する読書習慣です。ただ、時間も限られているのでどちらかを選ばないといけないとしたら、読書においては、量より質を選ぶのが良いのではないかと私は考えています。

ここでいう「読書の質」とは、今の自分にとって最適なレベルか、自分の興味に合った内容か、ということ。1年前の自分にとっては必要な内容でも今の自分にとっては必要でないこともあるし、1年後の自分にちょうどいいレベルの難しさでも今の自分にはまだ早くて難しすぎる場合もあります。

世の中が「この本は素晴らしい良質な本だ」と認めていても、特に小さい頃は、年齢や自分の読解力によって自分にとっては簡単すぎたり難しすぎたりすることもあるので、今の自分にとって最適かどうかは、また別問題であったりします。読書感想文の対象本や、学校の推薦図書など、学年によってオススメの本が決まっているように、小さい頃に読む本はレベルがそれぞれ違うので、自分のレベルに合った本を探し出すことが大事だと思います。

さらに、自分が本当に興味のある内容かどうかも重要です。世間でどんなに売れている本でも、世の中でどんなに有名な本でも、自分の興味がなければスイスイ読み進めることができません。途中で飽きて放り投げてしまうかもしれません。

逆に、自分の興味にぴったりストライクという本をみつければ、自分の中にあった知的好奇心がどんどん満たされていくのが分かって、興奮して、読むのを止められなくなることもあるでしょう。読書の興奮の波が押し寄せてきたときは、きっと快感が味わえて読書の虜になります。そういった経験を重ねることで、より読書にはまっていきます。

読書の世界に入り込め

「ご飯の時間だよ~。ご飯できたから食べよう!」と親に言われても、「今読んでいる本がちょうどいいところで、続きが気になる!」と言って「本をまだ読み続けたいのになぁ~」なんていう気分になったことはありませんか?読書の悦に入っている状態ですね。そこで区切るなんて、きりが悪くて無理。そういう経験の数が大事だと私は思うのです。

ただ淡々と読書をするのではなく、その世界に入り込んで出てこられなくなるような感覚。その感覚を一度味わってしまうと、もっと本が読みたくなる。その経験は、きっと今後役に立つ宝となるでしょう。

という訳で、小さい頃の私は本を大量に読んでいた訳ではありませんが、自分の興味のある本はわりとはっきりしていました。その頃に、本を通じてサイエンスの世界に興味が芽生え、さらにその興味の芽が膨らんでいって今に至る、という感じでもあります。

もし、サイエンス好きの人ならこんな本がオススメです。最近のニュースですが、2019年9月26日、理化学研究所と編集工学研究所によって科学の魅力を伝える良書として『科学道100冊2019』が選ばれ発表されました。

選ばれた100冊の内訳としては、半分の50冊が時代を超えて読み継ぎたい本「科学道クラシックス」。残り半分の50冊が、今が旬な科学トピックスなどから毎年選ぶ「テーマ本」だそうです。今年のテーマ本は、「元素ハンター」「美しき数学」「科学する女性」という3つのテーマから選ばれた50冊。どれも面白そうなテーマでそそられますね。

「元素ハンター」は17冊、「美しき数学」は15冊、「科学する女性」は18冊、この3つのテーマを合わせて50冊だということです。ぜひこの中から、自分の興味のある本があるか、ご覧ください。

私が小さい頃に読んだことがあって懐かしかったのは、「科学道クラシックス」に選ばれていた『ファーブル昆虫記』『ソフィーの世界』。どちらも、小さい頃に親が薦めてくれた本でした。自分が昔読んだことのある本がランクインしていると、なんだか嬉しいものです。

科学好きな人なら誰もが一度は通る道、というような気がして、時代を超えて普遍的に愛される作品はすごいなと思います。

まだじっくりは読んだことないけれど聞いたことがあったりもして、私が気になったのは次の本

「科学道クラシックス」に選ばれていた、

「元素ハンター」に選ばれていた、

「美しき数学」に選ばれていた、

「科学する女性」に選ばれていた、

いかがでしょうか。この中に興味をそそられる本はありましたか?タイトルを見ただけで、思わず中身を読んでみたい!と思う本も、この中にはたくさんありますね。こうしたきっかけでぜひお手に取ってみて頂ければ嬉しいです。今の自分にとって最適な本1冊が見つかりますように。

(2)流し読みをせずに、一文ずつ丁寧に理解しながら読む

さあ、自分にとっての最適な本が見つかったら、ぜひじっくり読んでみましょう。自分が読みたくて仕方ない本なら、きっと丁寧に読むことと思います。ここで注意したいのが、流し読みをしないことです。

興味が途中で無くなってきたり、長時間は集中力がもたずに集中力が切れてしまったりすると、だんだん適当に流しながら行間を飛ばして読んでしまうことがあります。

速読の術を身に付けたいなら、流し読みをするのではなく、速読に必要な手順を踏んでスキルを身に付ける別のやり方があります。速読は専用のトレーニングプログラムがあるので、ここでは一旦別のものとして考えましょう。

流し読みをする習慣がついてしまうと怖いのは、きちんと真に意味を理解しなくてもいいや、という脳の思考回路が癖になってしまう点です。ざっくりと大体分かればいいや、と思ってしまうと、意味を勘違いしていたり、正確な意味を聞かれても答えられなかったりします。適当な読解で済ませてしまうと、国語の読解力が低下していきます。

小さい頃に培う読解力は、今後どの教科においても応用できかなり重要なものなので、小さいうちからきちんと正確に理解しようとする習慣を身に付けておきたいもの。読み飛ばしの読書習慣は、読解力の低下に繋がる訳です。

最近、こんなニュースを見て、愕然としました。こちらのサイトから引用させて頂きます。

https://news.livedoor.com/article/detail/17038836/

教科書が読めない人」は実はこんなにいる

2019年9月6日 5時10分  東洋経済オンライン

 

私たちが考案した基礎的・汎用的読解力を測るリーディングスキルテスト(RST)には、「同義文判定」という問題群があります。

200字に満たない2つの文の意味が同じか異なるか、二択で選択します。この能力は記述式問題の答え合わせをするうえで欠かせない能力です。

 

例えば、こんな問題です。

  • 幕府は1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた。
  • 1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた。

以上の2文は同じ意味でしょうか。

もちろん、答えは「異なる」です。けれども、中学生の正答率は57%にとどまりました。

(途中略)

実際に定期試験で、先程の例題の2つ目のような解答を持ってきて「先生、どうしてこれは×なのですか?」と聞きにくる生徒が少なからずいます

「意味が違うでしょう」と言うと、「でも、(キーワードとなる語は)全部合ってます。部分点は出ないんですか?」と食い下がるそうです。

(途中略)

 

前著『AI vs.教科書が読めない子どもたち』に出てくる、悪名高きアミラーゼ問題」日本人大学院生は全員不正解。唯一正解したのが中国からの留学生だったというのです。

「アミラーゼ問題」とは以下のような問題です。

次の文を読みなさい。

 

アミラーゼという酵素はグルコースが繋がってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても形が違うセルロースは分解できない。

この文脈において、以下の文中の空欄に当てはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。

セルロースは(     )と形が違う。

(1)デンプン (2)アミラーゼ (3)グルコース (4)酵素

(途中略)

(※アミラーゼ問題の答えは、(1)デンプン)

面白い問題ですね。これらの具体的な2問を、ぜひ身近な人に試してみてください。大人でも意外と間違えたりして…?!

この問題に正解するためには、文章の構造をよく分析して正しい関係性を考えることが必要です。

普段から流し読みをしていて、単語だけ拾って自分の頭の中で適当に関係性をつなげていけばいいや、という読み方がクセになってしまうと、こうした問題が出たときにうっかり間違ってしまいます

単語を繋げるだけだと、何が起きているのかシーンを想像することくらいはできますが、因果関係だったり、対比関係だったり、文章の関係性をきちんと理解するのが疎かなってしまいます。長年、流し読みが自分のベースの習慣となってしまうと国語の読解問題で微妙な差異を問う問題ができず、まんまとひっかかってしまいます。

参考書だって、何冊も手をつけて流し読みをするより、1冊を丁寧にじっくりとことん理解する方が、本当の自分の実力になります。こうした理由から、私は流し読みをオススメできません。

日本語の構造は非常に繊細で、1文字違うだけでも意味合いが変わってくることがあります。ゆくゆくは、社会に出て仕事をするようになっても、読解力がなく、ちょっとした日本語の差に気付かないと、大きな発注ミスなどを起こしかねません。

読解力は相手の言いたいことを正確に理解するために不可欠で、生きていく上で必要な力だと思います。その土台となる底力は、小さい頃の読書習慣で養われていきます。だから、流し読みをせずに、一文ずつ丁寧に理解しながら読む習慣を私はとても大切にしています。

最近では、スマホアプリなどで月に定額を払えば、好きな本や電子参考書が使い放題になるサービスもあるそうです。正しい使い方をすれば素晴らしいものですが、使い方を誤ってしまうとリスクもともなうものだと思うので、どういった読み方、使い方をするのか、注意しましょう。

(3)本をキレイなままにせず、折り目をつけたり書込みしたりしながら読む

新しい本を買ったら、それがお気に入りであればあるほどその本をなるべくキレイに保ちたい、という気持ちになります。その気持ちもよく分かります。ただ、本をキレイに保っていたい、という読み方が習慣化すると、受験勉強をはじめて、参考書もキレイに保っていたいと思う傾向にあり、それが弊害になって成績が伸びないことがあります。

本来ならば、成績が伸びる人は参考書に折り目をつけて重要なページがすぐ分かるようにしたり、参考書にふせんを貼って見返したいページにメモを残したり、参考書にマーカーをひいたり、まとめポイントを書いたり、補足情報を後から書き込んでいったり…といったような工夫をすることで、参考書に爪跡を残しながら効果的な学習をしています

それが、参考書を汚したくないと言い張る人だと参考書に折り目や書込みなどの工夫をしないため、1通り参考書を勉強してもあとに何も残っておらず、時間が経つと何を勉強したのか忘れてしまう、という現象が高確率で起こってしまいます。

大事なページに折り目やふせんをつけておけば2回目以降も見直すときにラクで効率的だし、書込みをしていれば、2回目以降もまた調べる手間も省けて効率的です。2回目以降の復習を繰り返し効率的にやるためには、1回目で爪跡を残す勉強法をすることが大事です。そういった先のことまで考えてみてはどうでしょうか。 

小さい頃に、本を汚したくない願望を持ってしまうと、受験勉強始めて参考書にも同じように汚したくない願望が生まれ、やってもやってもすぐ忘れて、2回目以降もゼロからまた学習する羽目になってしまい、効率が悪くて時間内に終わらず、テストで点が取れなくなります

そうならないためには、小さい頃から本にどんどん書き込んだり折れ目をつけたりして、自分だけの本にするのが格好良い!と思う習慣をつけておくと良いのではないでしょうか。

私はそのクセが今もぬけず、マンガを読んでいても、また読み返したい大事なシーンや心に響いた言葉がのっているページには、気付くと折り目をつけています。そのおかげで、折り目をつけたページを後で見返すとその時の記憶がすぐ蘇ってきて、より印象に残りやすくなります。

ぜひ、このように読書習慣に気をつけて、自分やお子さんの読書習慣を振り返ってみてはいかがでしょうか。読書の秋に、自分にぴったりの本をみつけて、世界が広がる楽しい時間を過ごせるといいですね。

image by:Shutterstock

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