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「蛇に睨まれた蛙」状態の韓国。米中に怯えながら迎える局面

韓国が苦しい立場に立たされている。日本との関係性からではない。アメリカと中国という2つの大国から強烈なプレッシャーを受けて、板挟みになっているのだ。両国が貿易戦争でつばぜり合いを続ける中、アメリカにも良い顔をしないといけない、中国にも良い顔をしなければならない韓国は、今その狭間でもがき苦しんでいる。文在寅(ムン・ジェイン)大統領はどのように局面を打開するのであろうか?

韓国に対して強気に迫るトランプ政権

昨年の11月19日、韓国・ソウルで米韓の実務者による在韓米軍の駐留費用の分担をめぐる会議が開かれた。CNNが伝えたところによると、トランプ政権が韓国の来年の負担額として、従来の約5倍に相当する47億ドル(約5100億円)を提示。韓国側はこれに強く反発した。韓国交渉団の代表者、鄭恩甫(チョンウンボ)氏は別の会見で、米国から大幅な負担増に加え、新たな項目の費用も要求されたと指摘。開始からわずか1時間で協議は決裂してしまった。

この47億ドルという巨額の数字、トランプ大統領は当初50億ドルへの増額を主張していたと言い、国務省と国防総省による説得で引き下げられた金額だという。

しかし、これにはアメリカ側の大きな思惑があった。実はこの在韓米軍の駐留費用の分担はメインのテーマではない。最も重要なミッションは、韓国に中距離ミサイルを配備すること。これを文政権に「YES」と言わせるための布石だったのだ。アメリカの狙い通り、47億ドルという金額を突きつけると、韓国は慌てた。

夕刊フジによると、アメリカは協議の最終リミットに設定していた12月末のぎりぎりになって、「駐留費用はこれまで通りでいいから、中距離ミサイルを配備しろ」と言ってきたという。
韓国に中距離ミサイルが配備されることに拒否感を示す国がある。もちろん中国だ。

中国からの圧力に怯える韓国

昨年末に行われた日中韓首脳会議。それに先立って行われた安倍晋三首相と習近平国家主席との会談は、終始和やかに行われ、日中には友好ムードが漂っていたと多くのメディアで報道された。そう、今日本と中国の関係は改善方向へと向かっている。

一方、韓国と中国は穏やかではない。先日掲載した通り、日中韓サミットのおもてなしで差をつけるなど、韓国に対する中国の扱いははっきりしている。
『日中韓サミットのおもてなしに露骨な差?ぞんざいな扱いを受ける韓国』(MAG2NEWS_2019/12/23)
『日中が「反日」から一転「親日」ムードに。追い詰められた韓国』(MAG2NEWS_2019/12/24)

韓国は今、中国に対して必死だ。文政権は中国に異様なほどの屈従の姿勢を取っているとJBpressは伝えている。先月23日、習近平国家主席と会談した文在寅大統領は、「中韓関係の戦略的な発展」を強調。習主席は国際情勢に関して「多国主義」や「自由貿易」という言葉を再三提起した。明らかに米国のトランプ政権の対外政策への対抗であるが、文大統領はそれに対して同盟国である米国の立場を擁護しなかったという。

文大統領が米韓関係の絆には何も触れず、中国が提起する「戦略的な発展」に同意したことは、少なくみても米韓同盟の軽視であり、悪くいえば同盟からの離反、決別を意味するとさえいえる。米国にとっては、背信、裏切りといっても過言ではないと記事は伝えている。

貿易戦争をきっかけに緊張関係にあるアメリカと中国。両国から強烈なプレッシャーをかけられ、狭間で身動きが取れない韓国はまさに綱渡り状態にある。
もはや韓国に猶予はない。アメリカから無理難題を突き付けられ、中国からは脅しともとれるような圧力を受け、おまけに日本からはそっぽも向かれない文在寅大統領。難しい局面を迎える中、どのような舵取りをするのであろうか?

image by: Shutterstock.com

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