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日本企業の3分の2が倒産に追い込まれるもうひとつの2025年問題

団塊の世代が75歳以上になり医療費などの社会保障費の急増が懸念される『2025年問題』。少し前から話題となり、ご存知の方も多いと思います。しかし、それに付随した衝撃的な問題があることは知っていますか? 中小企業にとって、ある恐ろしい事が2025年に起こると予測されているのです。今回ご紹介する無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、『2025年の崖』と呼ばれるその問題について詳しく説明。どうにかしなければならない問題が、今やすぐそこまで近づいてきています。

2025年の崖

人手不足倒産というのは、言葉の通り人手が不足することで会社が倒産することを意味する言葉だ。運輸業や医療・福祉関連・建設業などは従来から人手不足が深刻化しいて、人手不足で倒産している企業も少なくはない。この数年は、業種にかかわらず、求人をかけてもなかなか来ないのが現状だ。ただし、単に人手不足と言っても後継者不足や採用難など様々な理由があるといえる。


 

新米 「昨日、ニュースで見たんですけど、人手不足倒産が4年連続で増えてるんですね」
E子 「去年1年間に人手不足が原因で1,000万円以上の負債を抱えて法的整理などに至った企業の数は、426社だって、ニュースで言ってたわね」
大塚T 「前年より39社も増加したんでしょー。調査を始めた2013年以降で最大なんだってね」
E子 「後継者が見つからなかった例が270件と最も多く、全体の63%を占めているのよねー」
大塚T 「求人を出しても人手が確保できなかった事例が78件に、従業員が退職や転職をした事例が44件、賃金をアップせざるで収益が悪化した事例が34件。そう言ってましたね」
E子 「業種別に見ると、飲食店や介護・福祉などの『サービス業他』と『建設業』の2つで半数近くを占め、人手の確保が難しい業種の倒産が目立ってるよなー」

深田GL 「従業員の数が少ない小規模な事業者ほど人手不足が経営に直結するだろ。アルバイトも人件費は高い水準が続き中小企業にとっては厳しい状況が続くなー」

E子 「ねぇ、そのことに関連してだけど、2025年問題って知ってる?」
大塚T 「2025年問題って、今さら…?」
新米 「団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という、医療費など社会保障費の急増が懸念される問題ですか?」
深田GL 「え?そんなオーソドックスな答え?『そのことに関連してだけど』って言ってただろ。別の2025年問題?」
E子 「うん、そう。随分前から後継者不足問題がクローズアップされているのは知ってるよね。その原因による倒産の危機が、皆が思う以上に大規模だってこと。2025年までに127万社が倒産するといわれているの」
新米 「え?127万社?」
E子 「そう、一口で127万社っていうけど、それって日本の企業のうち何分の1だと思う?」
大塚 「え~っ、そこそこ多いんでしょうね。日本の企業数って何社なんだろう?」

2025年問題で会社が消滅してしまう

E子 「2019年版の中小企業白書によると、1999年以降はずっと減少傾向、2016年には359万社で、このうち、中小企業は358万社。さらなる内訳は小規模事業者が305万社、中規模企業53万社となっている。2014年から2016年の2年の間には23万社(6.1%)の減少となったそうよ」
深田GL 「中小企業の経営者が引退する年齢は、平均して70歳前後と言われてるよ。中小企業庁の推定では、2025年時点で経営者の引退の平均年齢である70歳に達する中小企業経営者は約245万人なんだって」
新米 「うん?ちょっと待ってもらえますか?さっき127万社の話から企業数の話になりましたけど、整理させてもらうと…」
大塚T 「そもそも127万社は、日本の企業がおよそ360万社とすると、3分の1にもなります。でも、E子先輩、なんて言いました?2025年に70歳に達する経営者は245万人?そうすると、3分の2を超えてるんですけど!」
E子 「そうよ。それって、認識してた?」
大塚T 「いえ、全く…。2025年には恐ろしいことが待っているような…」
E子 「それがもうひとつの2025年問題。『2025年の崖』と言われている問題よ」
新米 「2025年問題の裏と表ですね。繋がってる…」
深田GL 「その廃業・休業する企業、127万社の約半数が、黒字と言われているんだよ。それなのに廃業って…。日本の優れた企業がどんどんなくなっていくのは、なんとかしないといけない問題だよなー」
E子 「60万社の黒字の優良な企業が後継者不足によって廃業してしまう。日本の経済にも大きな打撃を与えること間違いなしよね」
深田GL 「約650万人の雇用が失われ、約22兆円ものGDPの消失と推測されているんだからねー」
所長 「これは最悪のシナリオだけど、国に与えるインパクトは大きいだろうね。そのため政府としても最重要課題の一つに位置付けて、この10年は中小企業の事業承継を集中的に支援していくとしているんだよ」
E子 「そういうこともあって、今すぐ解決すべき課題として平成30年4月から10年間、事業を引き継ぐ(事業承継をする)企業に関して、事業承継をする際の税制の優遇を決めたってことなんですね」
新米 「うーーん、ちょっとコワイですね…」

 事業承継税制(贈与税・相続税の納税猶予及び免除制度)について(中小企業庁)
 事業承継税制特集(国税庁)

image by: Shutterstock.com

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【著者】 イケダ労務管理事務所 【発行周期】 週刊

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