遅すぎた武漢封鎖。新型肺炎パンデミックで死の淵に立つ世界経済

 

新型コロナウィルス感染拡大

新型コロナウィルス感染者数は、1月27日15時現在2,817人になり、死者数も81人と、急増している。12月初めに最初の患者が出て、1月下旬まで感染拡大を無視したことで中国全土に広がり、パンデミックが起こった可能性が高い。

中国からのSNSの情報によると、「実態は隠されていた。医療関係者らは、10万人の命が危ないと主張したが、武漢市当局は物資不足を隠ぺいし、海外援助を拒否した。湖北宇宙病院の医師であるHu Dianbaoは思い切って外部に公表した。湖北省では10万人以上に発熱があり、病院は地獄のようで、どこにでも助けを求めている。しかし、湖北省政府は事実を隠蔽するために物資は十分あると語り、海外からの援助は断った」という。どうも感染規模は、SARSのときの10倍を超えているようだと情報元の医師はいう。

もう1つ、武漢生鮮市場に居た出稼ぎ労働者は、春節を前に故郷へ帰ったので、中国全土に新型コロナウィルス感染の拡大は起こりえるという。武漢封鎖も遅すぎたようである。

そして、武漢封鎖で、自動車産業の一大拠点での生産が停止して、その自動車部品を納入する日本企業、欧米企業などに影響が及んでくる。世界的な景気後退になる確率は高いし、中国経済でもGDPが1.5%程度も下押しすると言われている。

その上に、上海の一部地域も封鎖になり、上海ディズニーランドも閉鎖となり、武漢市の封鎖が遅かったために、北京や上海でも感染が拡大しているようである。武漢から上海や北京での感染拡大が封じ込めできるかどうかに焦点が移っている。もし、今後、上海と北京でも拡大すると、中国経済は一層の景気後退になる。

このため、北朝鮮や台湾は、中国からの観光客を入れたのようにしたし、フィリピンは、武漢から来た観光客500人を送り返したなど、感染拡大を防ぐ処置を厳しくしている。

とうとう、中国政府は1月27日から海外団体旅行禁止となり、個人旅行も制限するようである。中国全土に感染が広がり、海外に感染を広げることはできないということである。

米国は、自国民救出のために、武漢に特別機を出して、自国民を全員退去させることにした。日本は、中国からの入国者に本人申告のカードを配り、それで自己申告してもらうことを水際対策と言うが、それでは、日本での流行は起こってしまう危険性が高い。フランスに入国した女性は解熱剤で体温を下げて入国審査を潜り抜けたと、得意げにSNSで述べている。

中国は、日本の様な対応ではすり抜けが出てくることが心配になる。中国人感染者が中国より医療レベルが高い日本の医療を受けようと入国する可能性も考える必要がある。

ということで、性善説的な対応で、中国より防疫体制が明らかに弱い。専門家でも危機感が広がっている。中国は公共交通機関に乗る人全員に対して、検査を実施し始めた。

というように、中国政府以上に防疫体制の甘い日本で流行したら、問題になりそうである。安倍政権は、対応が甘く、政権維持のやる気を失っているように感じる。もう少し、危機感を持って取り組んでほしいものである。

もう1つ、心配なのが経済への影響で、日本への中国人観光客が来ないと、インバウンド消費がなくなり、日本の景気が悪化することと、中国経済の景気後退で、債務不履行や企業破綻が多発して「バブル崩壊」が誰の目にも明らかになることで、中国の「バブル経済清算」が起きることだ。もし起きると、中国の消費が激減して、日本から中国に進出している企業の業績も大幅なダウンになり、その観点からも新型コロナウィルス感染拡大を見る必要がある。この件は世界的な景気減速になるので、世界的に要注意である。

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