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自分の人生を生きたい。DeNA創業者が語るハチャメチャな創業経緯

情報化社会が進み、ビジネスの世界ではどんどん変化のスピードが増していきます。この先、私たちも想像できないような変化の波が押し寄せるかもしれません。そんな中、内閣府はよりスマートな社会を実現すべく、これからの日本の指針として「society5.0」という提言を発表しています。無料メルマガ『戦略経営の「よもやま話」』の著者である浅井良一さんは、この内容とともに、ドラッカーの言葉も踏まえ、未来を作っていく企業の参考になる「DeNA」の創業経緯を詳しく紹介しています。

組織は戦略に従う

“アイデア”はいつの時代も企業が興隆するための“根幹の起爆剤”なのですが、それに“情報”が加わったのはいつの頃だったのでしょう。やはりその草分けとしてIBMがあげられそうですが、さらにそれがハードからOSソフトのマイクロソフトが生れて来たのが“異質な時代へと進んできた“節目”だったのだと思えるのです。

もとより言うまでもないことですが機械、機器などといったハードは、人が豊かに生活するための基本的なツールであって、それにIT技術が加わりNC旋盤、ロボットへと、そしてインターネット機能が付加されて今やIoT(インターネット経由でセンサーと通信機能を持ったモノ)といった活用の時代が開かれて行きます。

そうしたらこれから先はどうなるのか。その解答としてめずらしい感もあるのですが、内閣府は経済財政白書で4次産業革命での出遅れを取り戻すためなのか「Society 5.0」なるものをこれからの日本の指針として提言しております。新たな「道しるべ」になるものと思えるので、耳を傾けたいと思います。

Society 5.0とは

これまでの情報社会(Society 4.0)では知識や情報が共有されず、分野横断的な連携が不十分であるという問題がありました。

Society 5.0で実現する社会は、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服します。また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます。社会の変革(イノベーション)を通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となります。

とバラ色の社会をうたいあげているのです。

ドラッカーは、こんなことを言っています。

「自ら未来をつくることにはリスクがともなう。しかし、自ら未来をつくろうとしないことのほうがリスクは大きい。成功するとはかぎらない。だが、自ら未来をつくろうとせずに成功することはない。」

となれば、あなたがそうしなければ「バラ色の社会」は来ないでしょう。

ここで少し思案してみるのですが、どうも4次産業革命のアメリカが先行し中国が追い上げている競争要件と「Society 5.0」で求められる目標が異なる様子があります。どうせ“リスク”があるのなら、また「自ら未来をつくろうとせずに成功することはない」というなら、自らが“やる価値”がありそうです。

そうしたら「どのようにするのだ。」となるのですが、このことに参考になりそうな企業があるので、ここで観て行きます。DeNAという企業は、名前からして少し変わっているように感じ、その創業者が女性であり「マッキンゼー」というコンサルタント企業に勤めていたというのでなおかつ興味が惹かれました。

DeNAという社名ですが、それははDNA(遺伝子)とeコマース(電子商取引)を組み合わせたものだそうで、「eコマースの新しい遺伝子を世の中に広めていく“DNA”でありたい」という意味が込められているとのことです。その企業がプロ野球球団を持ってているのだから、尚更興味深いのです。

ONE TEAM(ワンチーム)

DeNAの創業者は南場智子さんで創業の経緯が面白い。「普及が進んでいた携帯電話でオークションサイトをやったら面白いんじゃないかというアイデアを思いついて、コンサルタントとして他社の知り合いに熱心に勧めたのです。するとその人から『君がやればいいじゃない』と言われた」でその気になったそうなのでした。

その時の気持ちについて「情熱がわきおこってしまい、とにかくやりたくてたまらなくなってしまったとしか言えないのです。私は10年もコンサルタントをしましたから、えらい論理的な人になっちゃって、ヤバかったですよ、本当に」と話されているのですが、そこには「自分自身の人生」を生きたいへの“思い”があったからだそうです。

余談になりますが、この“自分自身の生き方”へのこだわりは、多くの“大きな業績を成した経営者”が持つ共通の基本資質のようです。だから「自ら未来をつくろうとする人」のみが大きな成果に至ります。

さてDeNAの南場智子さんが「起業すると決めたとき真っ先に何をしましたか」と聞かれた時、こんなことを言っています。「仲間をつくりました。最初に声をかけたのはマッキンゼーにいた川田尚吾氏。起業の経験もあったので、相棒として彼を選んだのは大正解。このほかにも、リクルートとかIBMにいた人たちが来てくれました。彼らが『南場さん、社長ならこういうふうに決断してほしい』などと教えてくれたんです。コンサルタント的な発想の私を、仲間が経営者的な発想に引っ張ってくれたと思います」と答えています。

ここでこのことを持ち出したのは「Society 5.0」で活力ある事業を行うについての組織や経営のあり方について見つめたいからなので、このあり方について、特に初期については「ハチャメチャ」とも取れる活力のある柔軟構造のチーム型組織が好適であるかのようでして。自由なコミュニケーションの中でこそ、未来構想が生れるからです。

これについて南場智子さんは「経営者としてどんなことを大切にされていましたか」と聞かれたときの答えが現実的でおもしろく、「『経営にはこれが一番大切だ』といった教科書っぽいものはありませんでした。ただ振り返ってみるとそのときそのときの目標に向かってできることはとにかく全部やるというスタンスでした」と答えています。

そして「初めてサービスが出たとき、みんなの喜び方が純粋でした。そういう純粋なみんなと目標を共有して、全力で頑張ることを楽しめるチームにしたいなと思っていました」と素直なのです。

「経営の秘訣は何ですか」と尋ねられ、「同じ目標に向かって全力を尽くし、互いに切磋琢磨し、ときに激しく競争しても、チームのゴールを達成したときの喜びが全員に共有され、その力強い高揚感でシンプルにドライブされていく組織をつくろう」。ここで“キー”になるのは「同じ目標を持つチーム」となります。

ここから「何をしなければならないか」について、分かっているのは「自分たちが決めた“目的”と“目的の方向性”だけ」だったようで、これが、どうも“強み”が生れ出る経営環境のようで、これがごく一般的になりそうで、そこで「変化が分からない専門知識のない“上司”」で、どのように“管理”ができるというのでしょうか。

“知識専門家”を活かすには、どうも別要素の感性が必要のようです。「今仕事がうまくいっていない社員がいても、カチッと何かが符合すれば、見違えるように伸び伸び活躍し始める可能性があるわけだ。はじめからできるスーパースターばかり頼るのではなく、人の力を信じて引き出せる会社にして行きたいと思う」とまるで“部活”のようです。

“知識社会”では“知識”が“最大の資源”であります。ここでの“経営の優勝劣敗”の要は“知識労働者の能力”とそれを優勝に導いてゆく“マネジメント”となります。「知識労働者がすべて同質のものだなどと考えたら、大間違いである」。すべての人が“異質な知識専門家”で、どうリードするのか。

それはラグビーワールドカップで躍進した「ONE TEAM(ワンチーム)」を彷彿させているかのようで、また南場さんの言葉ですが、「初めてサービスが出たとき、みんなの喜び方が純粋でした。そういう純粋なみんなと目標を共有して、全力で頑張ることを“楽しめるチーム”にしたいなと思っていました」と、一体どうなっているのかです。

アメリカの経営史学者アルフレッド・チャンドラーの著書『組織は戦略に従う』の序文にこんなことが記されています。「過去の歴史から、組織のマネジメントに当たる人々は、大きな危機に直面しないかぎり、日々の業務の進め方や権限の所在を変えることはまずない」と、今の時代は旧来型の組織にとって“大きな危機”です。

image by: Shutterstock.com

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戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。

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【著者】 浅井良一 【発行周期】 ほぼ週刊

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