4月末までに新型肺炎の完全収束がなければ東京五輪は絶望的な訳

 

小泉進次郎が対策本部会合をサボッたのは無理もない?

先週の国会では、小泉進次郎環境相が16日(日)に開かれた政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の第10回会合を欠席し、地元後援会の新年会を優先してそこで酒を飲んでいたことが暴露され、謝罪させられた。さらに森まさこ法相と萩生田光一文科相が似たような理由でその会合に出ていなかったことも判明した。

何ともあきれ果てた大臣たちで、もちろん彼ら1人1人の危機感の欠如は指弾されるべきであるけれども、実はこの対策本部そのものが、最初から形骸化していたと言っていいほどお粗末なもので、安倍首相自身の危機感のなさが小泉らに伝染したというのが物事の実際の順序だろう。

安倍晋三首相を長とするこの対策本部は、1月30日に創設されて第1回の会合を開き、以後2月8日までに11回を重ねている。それだけ聞くと、政府もけっこう熱心に取り組んでいるじゃないかと思うかもしれないが、官邸ホームページの記録を見ると、その11回すべてが短くて10分間、長くて15分間で終わっていて、中身は、厚生労働省をはじめ他の関係省庁からデータなどをまとめた紙が1~2枚配られて説明があり、それを受けて安倍首相が役人が書いた挨拶の原稿を2~3分程度読み上げて終わる。何のためにこんなことをしているのかと言うと、回数を多くし、その都度の安倍首相の挨拶をビデオに撮って官邸ホームページにアップすることで「やっているフリ」を演出するのが目的なのである。

これを新聞の「首相の一日」で見ると、16日は「4時3分、新型コロナウイルス感染症対策本部。5時1分、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議。38分、私邸」となっていて、これを見ると、日曜日にもかかわらず4時から1時間半ほど、熱心に対策に取り組んだような印象を受ける。しかし、4時3分に始まった会合は4時15分には終わっていて、その後の45分間はたぶん休憩して、5時1分に新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の第1回会合に出席はしているけれども、別の記録によると1時間ほど続いたその会合で安倍首相は挨拶だけして、たぶん15分ほどで退席して、家に帰ってしまった。

この2日前、14日には対策本部の第9回会合が開かれていて、これも「首相の一日」で見ると、「5時26分、新型コロナウイルス感染症対策本部。6時39分、東京・内幸町の帝国ホテル」となっていて、約1時間、対策に取り組んだかのようだが、記録によればこの会合も15間で終わり。一休みしてから帝国ホテルに行って何をしたかと言えば日本経済新聞社の会長、社長、論説フェローら幹部と2時間半ほどもかけた会食で、そのまま私邸に帰っている。

つまり、安倍首相自身が新型肺炎にほとんど関心を持っておらず、せっかく第1回の会合に集まってくれた専門家の話に耳を傾けるでもなく中座し、マスコミ大幹部の追従笑いに囲まれて美酒美食に酔うことの方を大事だと思っているのである。総理がそんな風なら自分も地元後援会の会合を優先してもいいんじゃないかと、たぶん進次郎は思ったのだろう。

print
いま読まれてます

  • 4月末までに新型肺炎の完全収束がなければ東京五輪は絶望的な訳
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け