4月末までに新型肺炎の完全収束がなければ東京五輪は絶望的な訳

2020.02.26
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takano20200225
 

感染拡大に歯止めがかからない新型肺炎。政府は2月25日にようやく基本方針を発表しましたが、遅きに失した感は否めません。なぜ安倍政権の対応は、ここまで後手に回ってしまったのでしょうか。ジャーナリストの高野孟さんは今回、自身のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で、このような事態を招いた根本に政権の「緩み」があったと指摘。さらに厚労省の医系技官がダイヤモンド・プリンセス号の「隔離失敗」の原因となったとして厳しく批判しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2020年2月24日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

4月一杯に新型肺炎を完全終息させないと五輪開催が危うくなる!──なのに何の危機感もない安倍政権の緩みっ放し

東京五輪の開会式は7月24日で、その2カ月前の5月半ば、大型連休明けになってもまだ新型肺炎に収まりがつかず燻っているようであれば、五輪そのものの開催が危うくなる。

第1に、その時期には早くも、各国のチームが続々と来日し、ホストタウンとなる全国約480の市町区に散ってトレーニング・キャンプに入る。その前に安心して来日できる環境を整えておかなければ、急遽キャンプ地を自国かアジア近隣で新型肺炎から安全なところに振り替えるとか、それも難しいので五輪参加そのものを諦めるチームが出てくるとか、大混乱が始まる。

第2に、事前のキャンプ入りを予定していないチームや選手も、7月までに本当に収まっているのかどうか、正確な情報を得た上で参加するかどうかの判断を迫られる。有力なチーム・選手であるほど、そしてプロ選手であればなおさら、選手生命を絶たれることになりかねない疫病には敏感になるだろう。

第3に、発生源となった中国がその時点でどういう状況となっているか分からないが、自国と日本とそれぞれの終息度を見極めた上で、場合によっては中国選手団全体が参加を見合わせることをも含めて、この時期には最終判断を下さなければならないだろう。少なくとも、中国は大丈夫だが日本はまだ危ないので中国選手団が来られないというみっともない事態は、絶対に避けなければならない。

第4に、五輪目当ての外国人観光客も、2カ月前にはツァー予約をキャンセルするかどうかの決断を迫られる。

2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の場合は、終息までに8カ月を要した。今回の新型肺炎も同じだとすると、昨年12月12日に武漢市で最初の症例が出ているので、今年8月9日の閉会式あたりまでが8カ月間に入ってしまう。しかも、発症しないままの人からも感染してしまうという今回の特殊性を考えると、いったん収まったかに見えてもまたどこか思いもかけない所からポコッと出てくるといった格好で、一層長引くこともあり得るだろう。少なくとも、8カ月より短くて済みそうだと見る根拠は何もない。

だからこれは、8カ月を少し繰り上げて、7月の開会式までに収まっていれば何とかなるだろうというものではない。8カ月かそれ以上と予測される感染蔓延期間を半分以下に折り畳んで、4月一杯に世界に向かって完全終息宣言を発せられないようであれば、五輪は数千万人が濃厚接触する究極のマス・ギャザリングの場と見做されて、5月から“崩壊過程”に入ることになるだろう。

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