4月末までに新型肺炎の完全収束がなければ東京五輪は絶望的な訳

 

厚労省の「危機管理担当審議官」は一体誰でしょう?

この内閣にまともな危機感がなく、ましてや4月中に何としても終息させないと五輪が潰れるという国家的一大事になるという切迫感もないことのもう1つの現れは、厚労省の危機管理担当審議官としてダイヤモンド・プリンセス号に乗り込んで指揮をとっているのが、あの大坪寛子だという悲惨な事実である。

審議官にも厚労省の場合は3種類があって、

(1)いちばん偉いのは「厚生労働審議官」。これは官僚No.1の「厚生労働事務次官」に次ぐNo.2で、審議官も次官と同様、たいていは東大法学部出身の文系事務職と決まっている。

(2)その次がNo.3に当たる「官房長」で、その両脇の局長級ポストとして2人の「総括審議官」がいる。

(3)さらにその下に〔上に何も付かない単なる〕「審議官」がいて、これは局次長級の、民間で言えば担当役員という役回りになる。厚労省では15人も居て、その筆頭にあるのが大坪寛子。「危機管理、科学技術・イノベーション、国際調整、がん対策、国立高度専門医療研究センター担当」と職掌が明記されている。

さて、厚労省には「医系技官」という系列があり、その頂点は(1)の事務次官に職階上で匹敵すると言われているが実際にはNo.1.5という感じの「医務技監」、(2)の「総括審議官」のうちの1人は医系だが、国際保健機関との連絡担当に仕事は限られているようだ。その下に(3)のヒラの「審議官」がいるのだが、その中でも筆頭に位置して危機管理とかイノベーションとか国際調整とかの包括的な分野をいくつも任されているのが大坪で、彼女がそこまで上り詰めたについては愛人の和泉洋人総理大臣補佐官のバックアップによるところが大きかったとされている。その彼女が、厚労省の職階上、危機管理の最高責任者としてこの事態に立ち向かっていて、途中からは自らプリンセス号の船内の同省対策本部に入って指揮していると言われるのだが、そんなことで大丈夫なのか。

今更語るのも恥ずかしいことだが、公費による内外同伴出張でコネクティング・ルーム(という言葉を今回初めて知ったが)を現地大使館などに用意させたり、京都でかき氷をアーンと口に入れてやるところとか、銀座で酔って手を繋いで歩いているところとかを週刊誌に写真に撮られたりして、自分の危機管理すらまるでなっていないような人が、どうして国家の危機管理を担当できるのか。そもそもこれだけの不潔としか言い様のない男女関係スキャンダルで和泉と大坪に何の処分も加えないことが政権の腐朽の証左だし、それどころかその大坪をこの国家的危機の現場責任者にしてはばからないというのが、もうこれは世も末である。

とはいえ、これはこの危機的事態の時にたまたまこのポジションにいた彼女の個人的な資質の問題で、根本は、組織体制の問題である。この危機管理担当審議官が誰であろうと、厚労省の医系技官というのは、確かに医学部出身で医師免許を持っているとはいえ、ほとんど、あるいはまったく、臨床経験もなく、ましてや世界中の感染症対策の現場で命懸けで戦ったことがある人など皆無である。そういう人たちが官僚制度の職階上でだけ偉くなって、その中には安倍首相や菅義偉官房長官に近い補佐官を愛人にしたおかげで何階級か特進して上の方に行ってしまったというような人もいたりして、そういう連中がこういう緊急事態の際にすべてを取り仕切る権限を握ってしまうことの悲劇である。

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