またも韓国か。コロナ後の経済と秩序の回復を阻むこれだけの要因

 

そこに【長引く米中貿易戦争によって引き起こされた世界経済成長の鈍化】、【最大の輸出相手国である中国がCOVID-19による景気悪化により輸入を控えていること】、そして【韓国を襲ったCOVID-19の感染拡大による経済活動の著しい鈍化】が重なり、韓国経済の浮上のきっかけが見えてこない四面楚歌の状況と言っても過言ではないでしょう。

ゆえに韓国の信用力を著しく損ない、国際市場に打って出て外貨獲得の担い手で、韓国経済が過度の依存をしていた半導体部門と自動車部門が揃って米欧市場からの締め出しを食らい、中国のスランプも災いして、日本円にして20兆円ほどの経常赤字を記録しています。

そこに韓国経済特有の構造の偏りが追い打ちをかけています。それはサムスン、ヒュンダイ、LG、SKの4大財閥がGDPの6割強を占めるという異常な構造で、言い換えるとこの4大財閥のパフォーマンスがそのまま韓国経済にパフォーマンスに直結するという形態です。すでに述べたように、これらの4大財閥の欧米諸国からの締め出しが行われており、大変なマイナスを経験しています。

そして、何よりも外貨準備高が非常に不安定であることでしょう。2020年2月末現在では4,091億ドルレベルに達していて、表面的には“安定”しているように見せかけていますが、そのバックにはアメリカFRBとの600億ドル規模の通貨スワップ合意がありますが、この600億ドルは現時点ではまだ名目上のお金であり、まだ米国から移転されていません。ゆえに、先述の通り、“大嫌いな日本”に対して、この期に及んで通貨スワップをお願いする!と言ってきていますが、日韓通貨スワップについては、残念ながら日本側には全くメリットがありません。これまでにもスワップ協定を何度か結んできましたが、その都度、韓国は歴史問題や竹島問題を持ち出して日本との信頼を裏切ってきています。昨今の麻生副総理兼財務大臣の発言にもあるように「だれが悪口を言われてまで頭を下げて貸さなくてはならないのか?」という感情が高まり、日本としては韓国を信用・信頼できないというのが現実でしょう。つまり、韓国経済にとっては、ポスト・コロナの世界経済において、浮上のきっかけや材料はないと言っても過言ではなく、言葉は過ぎるかもしれませんが、【COVID-19で韓国は地獄に落ちる】のではないかとさえ思ってしまいます。もちろん、それは世界経済全体を考えると、決して良いことではないのですが、止めるのは不可能な気もします。

ポスト・コロナの世界経済の回復の足を引っ張る可能性があるのが、ロシアとサウジアラビアが仕掛けた原油増産による原油価格を巡るチキンレースです。先週は一時、WTIでの原油先物価格が1バレル当たり20ドルを下回る水準になり、これはOPEC加盟国にとっても、ロシアにとっても、それぞれの経済を大きく傷つけるほどの大打撃を与えています。しかし、一度仕掛けた喧嘩ゆえ、振り上げた拳を降ろすきっかけを失っています。

しかし、ここで一番の大打撃を被っているのは、ロシアがOPEC Plusでの協調減産に反対した際にターゲットに定めたアメリカのシェールオイル企業です。通常採算がとれるラインは1バレルあたり30ドルから40ドルと言われていますが、20ドルあたりをウロウロしている状況では新規開発も操業もストップせざるを得ず、COVID-19の米国内での感染拡大もあり、とてつもない被害を被っています。ゆえに、アメリカ政府はカナダ政府と組んで、ロシアとサウジアラビアに対して「OPEC Plusが1,000万バレル単位での減産に合意しなければ、関税を課す」と脅し、それを受けて4月9日にはOPEC Plusの緊急会合が開催される見通しですが、解の見込みは低いかと思います。

それはなぜか。サウジアラビア(世界第2位の産油国)とロシア(世界第3位の産油国)は、「アメリカ(世界第1位の産油国)も協調減産に参加するなら、協調減産に応じる」という姿勢を打ち出していますが、これまでのところ、アメリカが協調減産に参加することはなく、ただ両国に対して関税という脅しを使って減産を迫り、上昇する原油価格にただ乗りするのではないかとの不満が大きくなっているからです。

実際に米、サウジアラビア、ロシアのトップ3だけで全世界の産出量の4割ほどを占め、協調減産に踏み切れば、原油価格の上昇が見込まれますが、先行きは見えない状況で、それがCOVID-19の世界的な感染拡大で冷え切っている消費者や企業の心理と相まって、ポスト・コロナの世界経済の回復スピードを遅らせてしまう懸念があります。

それが各国で高まる不安と不満に火を付け、これまで国際協調の下、抑えてきた争いの炎が再点火され、紛争が各地で勃発することにもつながりかねません。

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