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在米医学博士が新型コロナ予防ワクチンが必ずできると断言する訳

日本では安倍首相が「ある程度の持久戦を覚悟する必要がある」と話し、緊急事態宣言の延長を示唆。新型コロナウイルスとの戦いに終わりがないのではないかと、不安は大きくなりますが、「免疫学的に必ず終息する」との力強い言葉がアメリカから届きました。発信するのは、メルマガ『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』の著者で米国在住の医学博士・しんコロさんです。しんコロさんは、時間はかかっても必ず終りが来るとする根拠を分かりやすく解説。今は終息後を見据えてチャレンジするチャンスだと後押ししています。

みんなの不安

世の中の状況は相変わらずですが、皆さんはコロナ疲れで身も心もボロボロになってませんか?無理もないことですが、悪いことには何でも接頭語として「コロナ」がついている今日このごろですね。コロナ鬱、コロナ離婚、コロナ失業などなど。

「すぐに収束するだろう」「なんとかなるだろう」「対岸の火事だろう」などと多くの人がたかをくくっていたら、あれよあれよと状況が悪化してしまいました。今では「この状況がいつ終わるのだろうか」という疑問がさらに発展して、「一生このままなのか」「これがニューノーマルなのか」という不安や覚悟まで生まれてきていると思います。

免疫学的な近未来予測

免疫学的には感染症の広がりが「一生このまま」ということはないと思います。皆さんもワクチンを切望していると思いますが、安全性と効果が確認されたワクチンが完成すれば、徐々に感染も収束していくはずです。「そんなん当たり前や!しかしワクチンが効くかどうかわからんやろ!」というご意見があると思いますが、最もです。ワクチンはそこが肝心です。

ただ、僕がCovid-19のワクチンのうち効果があるものがそのうち現れるだろうとポジティブに思うのには理由があります。その理由は非常にシンプルなことですが、「感染しても治る人が多い」ということです。誤解をしてほしくないのですが、もちろんこのウイルスは非常に危険な側面があり、重症化した場合にあっという間に命を奪ってしまうことがあります。その意味で、僕はこのウイルスは「ほとんど治るから大丈夫」と言っているわけではありません。

僕が言いたいのは、「治る人が多い」ということはつまり「免疫がウイルスを駆逐できる」という点です。そもそもワクチンはみなさんの体がウイルスに対する免疫を獲得するためのものです。Covid-19に関しては、感染した患者さん達がそれを証明しています。つまり、正常に免疫が立ち上がれば治癒することができるということです。

逆のケースを考えると、この意味が良くわかります。ウイルスや感染症の中には、「免疫ができにくい」ものがあります。たとえば、HIVはその一例です。体がウイルスに対する免疫をうまく作れないのです。HIVは免疫からうまく身を隠す上に、免疫細胞自体を攻撃します。したがって、免疫がうまく立ち上がらないのです。

そういう感染症に対しては、基本的に効果あるワクチンを作るのが難しいのです。Covid-19は多くの人が治癒するので、免疫システムがウイルスを認識して抗体と免疫記憶を作ることができるわけです。つまりこれは、ワクチンが有効だということを示唆していることでもあります。

毒性の強いコロナが出たら?

「でも、毒性の強いコロナウイルスが出てきたら?」という疑問もあります。毒性が強くても、免疫がしっかり構築できて初期の段階でウイルスを駆逐することができれば重症化しないで済む可能性が高いです。例えば、狂犬病ウイルスを想像して下さい。狂犬病は感染して発症したら致死率は100%です。そんな毒性の高いウイルスですが、ワクチンによってほぼ撲滅することができました。つまり、毒性が高くてもその毒性を発揮する前に免疫が認識して駆逐できれば大丈夫ということです。

逆に、毒性そのものではなくて抗原性がコロコロと変異した場合はやっかいです。抗原性とは、わかりやすく言うと「ウイルスの見た目や構造」です。免疫は、ウイルスの見た目や構造を目印にして攻撃をしかけます。なので、同じウイルスでも見た目や構造が変異していまうと、免疫が撹乱されてしまうのです。

コロナウイルスはRNAウイルスといって、インフルエンザと同様「変異しやすい」ウイルスです。一方で、これまでの報告ではコロナウイルスの変異は比較的ゆっくりだということが分かっています。また、ウイルスというのは「変異したら必ず強くなる」というわけではありません。実は「変異したら弱くなる」ことの方が多いのです。確かに、たまたま生き延びた「強いやつ」が広がってしまうことがあるので油断はできませんが、必ずしも「変異するから怖い」というわけではないのです。そもそも変異するのはウイルスの特徴でもあるわけですから。

麻しん、風疹、おたふく風邪のワクチンは現在では非常に効果がありますが、Covid-19に対してもこれらの感染症と同じように効果あるワクチンがそのうち現れる可能性が高いです。変異は起きますが、変異が起きてもワクチンがその変異をカバーして効果を発揮できる可能性は十分にあると思います。現在では世界をどん底に突き落としているCovid-19ですが、数年後には「あの時は大変だったね」「そんな感染症あったね」と言っているかもしれません。

免疫学的に不明な点

ただし、免疫学的にまだ不明なことは数点あります。まず、どれだけ体内にCovid-19に対する抗体が保たれるかという点です。感染やワクチンによって抗体ができても、その後徐々に抗体量が下がってしまうことがあります。例えば、SARSが2003年に大流行した直後、2年間ほどは感染者に抗体が残りました。ウイルスを無毒化する抗体が体内に検出されていたのです。しかし、3年を超えると抗体が徐々に弱まり、再感染するというケースもありました。

免疫というものは、一度感染したら抗体ができて、二度と感染しないというのが一般的な概念ですが、必ずしもそうではありません。抗体はBリンパ球という免疫細胞が分化したプラズマ細胞によって産生されますが、感染が解消して再びウイルスが体内に侵入してくることがなければ、産生する必要がないと判断して抗体量が下がっていくからです。

しかし、免疫には「免疫記憶」というものがあります。みなさんのリンパ節の中にいるTリンパ球やBリンパ球のうち、Covid-19のことを覚えている細胞が静かに潜んでいるのです。そしてもし次にウイルスが侵入した時に、免疫記憶をしていたTリンパ球やBリンパ球が急激に増殖するのです。これを「クローナルエクスパンション」といい、特定の抗原に対するT/B細胞のみが外的刺激(Covid-19の侵入)によって増殖するわけです。

もう一つ気になるのは、最近Covid-19に感染して一度回復したけれども、再発して陽性になったという報告があちこちで出ていることです。この再発は、おおまかには2つの原因が考えられます。一つは完全に治りきらなくてぶり返した、つまり感染したウイルスが完全に駆逐されておらず、また症状を引き起こしたケース。もう一つは、回復して免疫ができたけれども、変異したウイルスに再感染したというケース。後者の場合、変異前のウイルスに免疫ができたにもかかわらずその免疫が変異後のウイルスに効果がなかったという可能性があります。そのシナリオが事実であれば、ワクチンの開発の難易度が上がります。再発の原因はこれから明らかになってくることと思います。

ワクチンの効能いかに

以上のように、Covid-19の変異とワクチンの効果、そして免疫記憶がどのようになるかは時間が経ってみないとわかりませんが、免疫学的に捉えると僕は見通しは明るいと考えています。Covid-19は武漢で検出された時から何度か変異した形跡がそのRNAシーケンスから見て取れますが、今のところワクチンが効かなくなるほど大きな変異ではなく、元来の型に酷似していることからも、来年あたりに出回るワクチンが効果を発揮する可能性は十分にあります。

ということで、「この状態が一生続く」とは僕は思っていません。うまくいけば「麻しん、風疹、おたふく風邪」と同じような存在になるかもしれないし、もしくは上に書いた免疫記憶の度合いやウイルスの変異に応じて再感染が起きる可能性もあるので、完全に撲滅できない可能性もあります。しかし、ワクチンを用いることで劇的に感染を防ぐことができ、パンデミックの終息に繋がることは期待できると僕は考えています。

ただ、ワクチンの安全性が確認されるまでどうしても時間がかかるので、終息のタイミングはやはり2021~2022年ではないかと思います。それまでの時間を長いと思うか短いと思うかは人それぞれですが、「一生このまま」ではないということは言えるので、前向きに頑張りたいですね。それまでの時間は、自粛→仮収束→再発→自粛というサイクルを繰り返す形になるかもしれませんが、終わりの見えない戦いではないので、今のこの変化にいかに柔軟に適応して過ごせるかが幸せのカギだと思います。

コロナ後は元には戻らない

一方で、コロナウイルスがきっかけで転げ落ち始めた経済は回復させることは難しいだろうと僕は予測しています。そもそもコロナがなくても崖っぷちにあった世界経済が、コロナのせいで崖からコロげ落ちたのですから…。もはやコロナが問題なのではなくて、崖をつくってしまったことが問題です。もちろん、コロナが終息することで経済が再開することは非常に重要ですが、その後も本来のバブル経済が解決した訳ではないので、金融危機は免れません。

数年前にメルマガで金(ゴールド)の話をしましたが、ここ最近になって日本でも金価格が高騰していることがニュースになっています。僕がやたらと金の相場を取り上げるのは、金投資が儲かるとかそういう話ではなく、金融システムの健康状態や機関投資家達の心理、これからの金融危機の運命を予測するのに役立つからです。そんな金相場の当時の予測と、今の金融状況の合致は偶然ではなく、ついにその時が始まったかと認識しています。

だだし、まさかコロナという形で経済危機に突入するとは誰も予測はできませんでした。何かしらのブラック・スワン的イベントが引き金となるとは思っていましたが、こんなにも危険でドラマティックで歴史的な感染症がきっかけになるとは誰も予測できませんでした。世の中何が起きるはわかりません。

世界経済に関しては明るい見通しは僕は抱いていませんが、「元気があればなんでもできる」を信念に、コロナとの戦いの終焉を念頭にポジティブな未来を見据えて過ごしていきましょう。危機を経験することで新しいアイディアや強さを得ることだってあります。世の中が変革する時は、これまでの慣例が崩されて新しいものが生まれる時でもあります。これをチャンスに、これまでできなかったことにチャレンジしてみるのも良いと思いますよ!

image by: shutterstock

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ねこブロガー/ダンスインストラクター/起業家/医学博士。免疫学の博士号(Ph.D.)をワシントン大学にて取得。言葉をしゃべる超有名ねこ「しおちゃん」の飼い主の『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』ではブログには書かないしおちゃんのエピソードやペットの健康を守るための最新情報を配信。

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