コロナに勝つには「売る場」を変えよ。事例に学ぶ販路拡大のコツ

 

デリバリー、テイクアウトだけでは不十分

こういう試みはとても素晴らしいと思います。その時のポイントは3つ。まず、「名物メニュー」であること。当たり前ですが、どこにでもあるメニューだと、単なるテイクアウト品になってしまいます。

カザンのコーヒーの例でいえば、名物の炭火焼コーヒーだから、テイクアウトでもファンの方は欲しいと思います。これが単なるコーヒーのテイクアウトであれば、スターバックスやドトールでもいいし、コンビニにも100円くらいで買えるコーヒーがあります。「カザンのコーヒー」だから飲みたいのですよね。

どろまみれさんの「鍋」も同じです。スーパーにも鍋セットは売っていますし、もちろん自分で食材を買ってきても作ることができます。でもこの草鍋は、オリジナルのスープ、既に切ってあってすぐに食べられる材料、そして何より、予約が取れないお店の味、と、「ここだけ」の逸品になっています。やはり、市場で勝てる売り物だからこそ、デリバリーやテイクアウトでも買ってもらえるのです。

2点目は、店頭以外でも告知すること。分かっていそうでなかなかできていなかったりします。カザンさんは、SNSで、どろまみれさんは、近隣のオフィスや住宅にしっかり告知をしていました。当たり前のことですが「人は知らないものは買えません」。メディアを使って周知したいところです。

もう1つは、新型コロナの感染拡大がなくなった後にも、来店してもらえるように工夫をしておくことです。来店してもらえる時に使えるクーポンを用意して差し上げたり、テイクアウトやデリバリーで買ってくださったお客様に、「次回もお知らせをしてもよいですか」と許可をとり、お客様の名簿を作って、定期的に新作メニューや日替わりランチの情報を提供するなどです。今は、ラインなどで簡単にできますよね。

テクノロジーをフル活用する

次は、食材を生産、販売している方々の事例で、売り方、売る場所について考えていきます。野菜、肉、魚などの生鮮食材は、やはり消費期限・賞味期限がありますから、生産した食材を、“期限内”に卸売会社や、飲食店、販売店に卸売したいところです。

しかし、外出規制の中、営業を自粛される飲食店さんや、デパートなどでの物産展が中止になるなど、計画していた生鮮食材を、販売できなくなってしまうことが出てきています。そんな中で、「みんなで助け合っていこう!」という動きも出てきています。

フェイスブックに「コロナ支援 訳あり商品情報グループ」というコミュニティがあります。このグループは、「賞味期限切れ、在庫を抱えて廃棄しなければならない。廃棄するくらいだったら訳あり価格で販売したい。そんな方々の救済グループ」とのこと。

全国で、食材を生産・加工する方々の中で、コロナによる需要減少によって売り上げが減ってしまうため、少しでも多くの人たちに自分たちが丹精込めて作った、野菜や肉、魚を販売したい、という方々の集まりです。

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