コロナに勝つには「売る場」を変えよ。事例に学ぶ販路拡大のコツ

 

フェイスブックのこのグループにアップされた投稿を見ると、とても美味しそうな食材が並んでいます。例えば、三重県の伊勢海老。通常だと、ゴールデンウイークなどの需要で、水揚げした伊勢海老は、ホテルや旅館で観光客の方に振る舞われるとのことですが、その需要が減ったため、相場が暴落しているとのことなのです。

そこで、この方は30%以上のオフで、販売します!とこのフェイスブックグループで、告知をしているのです。この方以外にも、沖縄のもずく、淡路島の玉ねぎ、大阪泉州のたけのこなどなど、全国各地の食材がアップされています。

「地域や業界を支えてきた人たちがいます。そんな方々の命の灯火を消してはいけない。そんな思いでこのグループを立ち上げました」という思いで発起人の方が立ち上げたとのことで、共感する方も多いのでしょう。私がこの原稿を書いている時点で28万人以上の人たちが、このフェイスブックグループに「いいね!」を押していました。

また、「こだわり農家に販路の選択肢を」という理念を掲げているビビッドガーデンという、IT企業が運営するオンラインマルシェ「食べチョク」では、「全商品の送料500円を食べチョクが負担する応援プログラム」を実施しています。

新型コロナウィルスの感染防止を目的とした、公立小中高の臨時休校要請を受けて、自宅での食事が増えると想定した施策ですが、家庭での料理の負担を減らすことだけではなく、全国の食材生産者さん達が登録されていて、このプログラムによって「コロナでお困りの生産者さんを応援できる」という、作る人も、買う人にもメリットがある企画です。

生産者さんは、このようにフェイスブックグループや、この食べチョクの運営者の方のように、美味しいものを作る生産者さんたちの心意気を理解して、新しい売り先を創り出してくれる動きも、出てきていることを知るとよいですよね。

インターネットは、やはりITでのことなので、合理的で冷たい感じもありますが、よく考えてみれば、便利なツールに過ぎません。やはり商売は人と人がするものなので、これらの便利なツールをうまく使うことができると、いいですよね。その意味でも、今のような危機の時も、人としての温かみを感じる2つの事例です。

まとめるとこうです。「売り方ではなく売り場を産め」です。前にも書いたように、コロナ危機のような「不確定要素」が多い状況下では、これまでのやり方では“ダメ”です。かといって、安易な値引きや値下げでは、利益は減り、ブランド価値も下がります。

飲食店のデリバリーは、もちろんイートインの時よりは安い価格で提供しますが、ポイントはそこではなく、「お客様が買える場所を追加した」ことに着目してください。

顧客視点でいることで、「お客様が便利に買えるにはどうすればいいのか?」と常に考えていると、今回のようなピンチの時にも、アイディアが閃きます。

image by: Ned Snowman / Shutterstock.com

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