木村花さんの死を利用しインテリさをアピールする見識者の不見識

 

唯一、現実的な方法が、官民で力を合わせて、SNS上の攻撃的な書き込みを規制すること、ではないでしょうか。匿名性を排除して、個人識別ができるようにする、とか。

実際に、国も、弁護団も、そう動き始めています。もし、本当の本当に、番組が、司会者が、視聴者が、そして故人が、悪いのであれば、国も、弁護団も今回のように動いていないはずです。テレビ局や、司会者や、故人を書類送検するはずです。そうしないのは、彼らが元凶ではないから。

つまり、元凶は「奴ら(書き込み連中)」で、決まりです。実は、もう、それで、決まりなはずです。

どうして、そんな当たり前のことを、長々と説明したかというと、そんな当たり前のことが、「全体のバランスを取るための、正論の逆張り」発言たちによって、ブレていくのが嫌だったからです。薄れていくのが怖かったからです。

頭の良さそうな人たちが、「テレビ局のせいだよ」と発言したとして、それが仮に正しいとして、それで、書き込みをした連中が、「そうだよな、オレ(アタシ)のせいじゃないよな、こんな頭のいい人たちが、諸悪の根源は、司会者だ、局だ、なんなら、世の中の風潮だ、時代のせいだって発言しているんだから」と逃げられる空気になるのが許せなかったからです。逃がしたくない。

少なくとも、僕たちは、バラエティ番組を、リアリティショーを、今まで、楽しんできたはずです。今になって、理屈で理屈を固めて、そこを責め立てるのか。それでもいいけど、子供の頃、先生や親に言われた「人の悪口を言って、傷つちゃダメです」の解決策の方がラクじゃないのか。

「法でどう規制したとして、ゼロにはできない」「でも、減らせられるよね?」

日本は共通認識で国自体が成り立っている。つまり、初対面の隣の人の言いたいことが、話さずとも、ある程度、わかる、わかりあえる文化です。だから「当たり前の会話」が退屈に感じるのでしょうか。ちょっと一風変わった意見で、インテリぶるのが、トレンドなのでしょうか。

ニューヨークは、たとえば、スターバックスに隣同士で座っている人間が、片方がアラスカの、片方が南アフリカ共和国の出身の可能性があります。片方がイスラム教の、片方がヒンズー教の教徒の可能性も普通にあります。片方が共和党支持者で、片方が民主党支持者、片方が大学教授で、片方が文字を読めない教育レベルの可能性もある。片方がカタコト英語で、片方が英語まったくダメな可能性も往々にしてあります。なので、まずは第一結論から話し合う、自分がどういう主張が、何したいのか、どう考えているのかを、まず最初にぶつけ合います。そこに、逆張りも、一風変わった意見のブランディングも、する余裕がない。

もう一回、言います。頭のよさげなロジックで、問題を複雑にするのは頭が悪い。

人によっては、リアリティーショーが今後も必要だと言う人も、司会者の面白おかしいMCのやり方が今後も必要だと言う人も一定数はいると思います(ちなみには僕は「テラスハウス」を見たこともないし、リアリティーショーが好きでも嫌いでもありません)

でも、人によって「匿名で、許されない誹謗中傷を書き込む」ことが必要だと言う人は一体、どれくらいいるでしょう。「共産主義や独裁国家じゃあるまいし、言論の自由は保障されるべきだ!」と言われるかもしれません。人を殺すまで、誹謗中傷を、しかも、匿名で書き込むことが、言論の自由というのならば、無名ながらも書くことを生業にしている僕から言わせると、その国は、その国の国民も、終わってる。もし、匿名でなければ、木村さんも他の解決方法があったはずです。匿名じゃなきゃ、もともと、書き込む勇気もなかった輩たちかもしれないけれど。

「解決策」がメインなはずです。「どこに責任の一端があるか探し出そうゲー~ムぅー!」ではないはずです。

「解決策」と「正当な責任追及」は、同じことじゃないか、と言われるかもしれませんが、実は違います。同じことじゃない。

解決できるのであれば、方法論は間違っていても、僕は問題ないんじゃないかと思っています。

解決できないのに、延々と正しい方法論を論じる方が、問題だと思っています。途中経過は関係ないんです。

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