木村花さんの死を利用しインテリさをアピールする見識者の不見識

 

わかりやすい例え話をします(いや、僕のわかりやすい例え話は、余計、わかりづらいって、よく言われるしな、、)。

たとえば、あなたが、ヘアサロンに行ったとします。バッサリ切って、かなりのショートヘアにしてと、注文したとします。スタイリストさんはプロです。完成形はスタイリストさんの頭の中には見えています。解決策をスタイリストさんは知っている。まずは鏡に向かって左サイドから、切っていきます。途中経過では、片方が長くて、片方が短い。当然です。そのつど、あなたはスタイリストさんに「うん、うん、いい感じ、でも、でも、髪型って、アタシは左右対称がいいから、当然、右サイドも同じように切ってね、切ってね、大丈夫だよね?ね?ね?」といちいち、カットされている途中で確認するでしょうか?大切なのは完成形で、途中経過の段階で「左右対称じゃなきゃダメだよね」という正論ではありません。まして、毎カットごとに、そのつど、そのつど、言及する必要があるでしょうか…。

いや、ごめん、余計わかりづらい、この例え話(やっぱ、例え話、ヘタだな、オレ)。

次、いきます。今の例え話は忘れてください(自分で書いていて、余計、自分の言いたいことがわからなくなってくるほどヘタだ。忘れて)。

あなたがすっごい肥満だとします。120キロ越えの。健康診断でもオールE。朝昼晩と、大量の炭水化物と甘いデザートで出来上がった体は、このままだと、心筋梗塞か脳卒中か糖尿病まっしぐらです。信頼できる主治医にとにかく、まずは体重を落とせ、と注意されました。「体重を落とすこと」があなたの目的です。病気にならない「解決策」です。あなたは今日から、日常食のショートケーキもポテトチップスもコーラもやめ、そして、当面は糖質制限を始め、軽めのジョギングをスタートしようと決意します。

そこに、頭の良さそうな、インテリジェンスあふれる話し方の栄養士の肩書きを持った女性が目の前に現れます。

「ただ、糖質は人類、ホモ・サピエンスにとっては、必要な栄養素でもあるのです。5大栄養素、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルと並び、摂らなくてはいけないモノであり、炭水化物をやめることによって、逆に老化が進むと、シンガポール大学の研究で証明されています。決して炭水化物を悪者にしないでください。太古より日本人は玄米という穀物で人体形成を行ってきた歴史があります。糖質を制限することは決して得策ではないのです」

直後、右から、テレビでもたまに見かける、有名な大学の教授が話しかけてきます。国際経済学の権威であるその教授が語りかけてきます。

「コカ・コーラという優良企業が、現代の資本主義に貢献してきた実績をご存知ですか。彼らは民間にかかわらず、多くの人々を雇用という形で救ってきました。確かにそのプロダクトは人体にとって有益とは言えないかもしれない。でも、彼らの経済を牽引した過去の貢献を棚に置いて、諸悪の根源扱いするのは、人類のエゴではないでしょうか」

そうしているうち、左から、タンクトップにムキムキの、さわやかインストラクターの登場です。

「素人がいきなりジョギングして、足腰を痛め、さらに運動嫌いになる様子を何人見てきたか。続かない無駄な努力はむしろ、マイナスに作用します。いいですか、体重を減らすためには、食事療法が最優先。せっかく買ったランニングシューズですが、捨ててしまいなさい!結果にコミットするうちに入会しないと運動しても挫折しますよ!」

最後に、うしろから、法衣を纏って両手を合わせた宗教家の登場です。

「いまのあなたのままで、いいのです。無理をしなくていいのです。あなたを愛してくれている人たちは、今のあなたを愛しているのです。ありのままで。今の現状を受け入れましょう。決して神様はあなたを見捨てません。必死に、ガムシャラに、無理する必要はないのです」

すべて正論です。4人とも。完璧なロジックで、正しすぎるくらい、正しい。

でも、その正しい理屈は、もともとの、あなたが「痩せて健康的な生活を送る」という目的に、得する情報だったでしょうか。途中の解決策の、手助けになるでしょうか。たとえ、それが100%正しかったとしても。

いいですか、120キロなんです。医学的に赤信号なんです。重箱の隅をつつく正論は今すぐ捨ててください。痩せる行為こそが、重要なんです。それが目的です。

いいですか、死んだんです。心無い言葉の刃で、しかも匿名の連中のストレス解消に、人が自ら死を選んだんです。インテリな正論は解決策の役に立たない。リアリティショーの歴史を紐解いて、欧米がどうとか、日本のエンターテイメントがどうとか、関係ない。もう今回のような悲劇を二度と起こさないのが目的なはずです。

ちょっと、感情的になって書いたので、いい文章じゃないかもしれません。

それこそ、頭のいい人たちに言わせると、穴だらけのロジックだとも思います。

僕が有名人なら、それこそ、的外れだと炎上する可能性も高いコラムです。

でも、人が死んだ時くらい感情的にならなくてどうするのか。それに、感情的になって書いたこととはいえ、あとで冷静になっても、言いたいことの本質は、僕は変わらない。

image by: 木村花Twitter

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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