作家・曽野綾子が警告する「くれない族」になることが危険な理由

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肉体的な老化を少しでも遅らせるためにエクササイズに勤しむ方は多いですが、「精神的な老化」へのケアは万全でしょうか。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では作家の曽野綾子さんが、口にし始めた時から精神的な老化が進んでいると思ったほうがいい言葉を取り上げ警告するとともに、幸福に生きるために大切な考え方を紹介しています。

くれない族

数多くのベストセラーを手掛け、日本を代表する作家として知られる曽野綾子さん。23歳で文壇デビューを果たして以来、いまなお精力的に創作活動を続けておられます。

その曽野さんが『致知』2018年11月号のインタビュー取材で聴かせてくださった興味深いお話をご紹介します。

幸福に生きるためには大事なこと 曽野綾子(作家)

幸福に生きるためには大事なことはいろいろありますけどね、やっぱり、できたら与えることだと思います。

私は昔から「くれない族」と定義していますけど、青年でも中年でも「~をしてくれない」と言い始めた時から、既に精神的な老化が進んでいる。それは危険な兆候だと思って、自分を戒めたほうがよろしいかもしれません。他人が「~をしてくれない」と嘆く前に、自分が人に何かしてあげられることはないかと考えるべきです。

それから、以前インドへ行った時に、感じのいい日本の若者たちと出会いました。彼らは皆、自分で貯めたお金を使って誰の迷惑も掛けずに、長期間インドを旅行していたんですけど、私と同行していた神父さんがこう言ったんです。「彼らは少しも幸せそうに見えなかった」と。「どうしてですか?」と私が聞くと、「彼らは自分のしたいことをしているだけで、人としてすべきことをしていないから」とおっしゃったんです。

自分のしたいことを自分の力ですると同時に、他者のためにさせていただくという気がない人間は大人とは言えない。真に幸福な人生も生きられない。だから、7割は自分の楽しみ、3割は育てたいもののためにお金と時間を使う。年を取れば取るほど、そういう人間になれるといいですね。

私はオペラが好きなんですけど、オペラの語源はラテン語で「仕事」っていう意味なんです。だから、オペラは大勢でつくり上げる一つの仕事なんですね。主役はいるけれども、主役一人でオペラはできない。それぞれが過不足ない役割を与えられて、その持ち場で丹誠を込めていくから素晴らしいオペラになる。

いまはそれを間違って考えて、自分のしたいことをすることが自己を育てることのように思う人がいるので困りますね。自己を丹誠するにはまず一生懸けていいという目的を持ってなきゃいけない。その目的に向かって、どういう人間に自分を仕上げたいのか。人間はもちろん脇道に逸れる時間も必要ですけれども、やっぱり自分を訓練していくと同時に、自分も他者のために、少し手助けする気持ちを持つことが大切です。

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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