確率の高い「長生き」を前提に家計を考える
梅原:「Kさんは非正規雇用ですので、厚生年金に加入していません。法改正されていますので、今後は加入できると思いますが、現状でも、Kさんに万一のことがあれば、国から子どもに遺族年金が支給されます。
詳しい計算は、ご本人の収入や年金の加入期間などによっても変わりますが、ざっくりお話しすると、Kさんにもしものことがあった場合、遺族年金が年に100万円ほど支給されます。
児童手当や児童扶養手当もそのまま出ますので、だいたい月に15万円ほどが支給されます。 仮にKさんのご両親が子どもたちを引き取るとなれば、ご両親も持ち家にお住まいですので、おそらく生活に困るようなことはないと思います。
確かに、これにプラスして収入保障保険の月10万円が下りれば安泰かもしれませんが、先ほど数字で示したように、どちらかというと、私たちは長生きする可能性のほうが高いのが実情です。万に一つのことよりも、より可能性が高いことのほうに、お金を使うべきではないでしょうか。
Kさんは、子どもの教育に非常に関心を寄せておられます。仮に、この状態でKさんがお亡くなりになった場合、死亡保険で計1,000万円入ってきたとしても、上手くやりくりしないと、教育費が不足する事態も考えられます。
どの学校へ行くかにもよりますが、一般的には、2人を私立高校、私立大学と入れれば、2,000万円弱くらいかかると言われています。収入保障保険と合わせれば、何とかなりそうですが、あくまでもKさんに不幸があった場合です。
実際は、生きる確率のほうが高いわけですから、そちらを前提に考えるべきだと思います。 私がKさんに提案したのは、 ・収入保障保険の解約 ・ドル建て終身死亡保険2つを解約して、代わりに共済の死亡保険に加入 ・現在、加入中の医療保険2つをやめて、別の民間医療保険に加入 …です。
これによって、それまで月に3万6,000円ほど支払っていた保険料が、7,800円ほどで済み、かつ保障内容が上がります。 もともと医療費は、地域によってはシングルの方が子どもを育てている場合、医療補助が受けられます。シングルでない方も、先ほどお伝えした通り、日本には高額療養制度がありますから、医療保障は、最低限でもいいのではないかと思います。
【結論】生命保険に入り過ぎて今が苦しいのは、本末転倒
自分の老後資金を、自分でつくるには
梅原:「統計上、自分たちがほぼ長生きする、ということがわかっているのであれば、『まずは自分が生きていける資産を、自分で確保する』と決意することが大切です。少なくとも、以後は“保険で貯金・運用”はありえません。まずは、自分の中の常識を書き換える―― ※この項目は有料メルマガ購読者限定コンテンツです →いますぐ初月無料購読!
『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』(2020年6月11日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による