コロナのおかげ。TVプロデューサーが悟った、自分に正直な生き方

 

正直に生きる

これは、あくまで僕の場合です。なのでみなさんの参考にならないかもしれないです。でもそう信じて生きるしかないので、今からそんな僕が信じていることを、他人の目を気にせず、プレッシャーをはねのけて書いてみようと思います。

まず、自分が何を決めたって、間違えるか正しいかはわからないわけです。これはさっきから何べんも書いていますよね。そして、そんな不確かなのに、他人がいないと自分が生きていけないから、人は何かを判断した時に、その判断の是非を気にしてしまうわけです。

でも、その判断がそもそも不確かなわけですから、そんな不確かなことで他人の目を気にしてしまうことがそもそもナンセンスなんだと思うわけです。

てことで、他人の目を気にしないようにします。すると実際、お前の判断はおかしいと言われたり、罵詈雑言が聞こえてきたりするのも確かです。そんなことは気にしなきゃいいのに!って言われたとしても、そんなのやっぱり気になるじゃないですか、ていうか、結局それだと堂々巡りになります。

なので、僕はまず判断します。そしてその判断が正しいか、間違っているかわからないけど、そう判断するしかなかったと、他人に対して正直に伝えます。結局、自分のできることは、他人にも、自分にも正直になるってことしかないんだと思うわけです。

なんだ、そんなことか。自分は十分に正直だよ!・・・そう思われた方も読者の方にはおられるでしょう。もしそうなら、それでもちろん構いません。どんどんそれで進んでください。でもこの、何かを決めた時の心境まで、正直に話すというのはとても難しいことで、僕の経験上、そういう決めごとのプロセス(経緯)を隠す、いやな言い方をあえて正直に使えば「隠蔽する」ような個人や組織ってのは結構あるんだと思うのです。その事実を知ってか知らずかは知らないですが。

例えば、僕らの職種のプロデューサーの行為のもっとも重要な仕事にキャスティングという作業があります。この番組にタレントの誰々さんに出て欲しいと思って、声をかけても、相手から断られたり、むしろすぐ断られたりすればまだましなのですが、ずるずると出る出ないの回答が引き伸ばされて、直前になって断られてめちゃくちゃ焦るなんてのは、よくある苦い経験なのです。

なので、僕らプロデューサーは、出演交渉で当たる順番を事前に考え、一番出てもらいたい人、二番目に出てもらい人、と候補にランク付けをして、一番から当たることになりますが、一番の人が一番出てくれない著名な方だったりするから、それがこの作業の困難さの原因な訳です。で、一番の方に断られると怖いので、どうするかというと二番目以降にも声をかけたり、探りを前もって入れてしまったりして、いざ二番目の人からOKをもらっておいて直前に本命の一番目のタレントさんにOKいただけちゃったら、さあどうするか?ってことがよくあったりするのです。

こんな時、とてもお腹が痛くなります。頭も痛くなります。番組のことを考えると一番の意中のタレントさんにもちろん出てもらいたい、でも二番目のタレントさんにすでに、それも先に、OKをいただいちゃってる。てことは一番の人に出演をお願いすると、結果的に二番目の人との先約を反故にして、二番目を裏切ることになるわけです。こういう事態は、実はキャスティングに限ったことじゃないでしょう。誰でもあらゆる場面で、こういう判断を迫られているんだと思うのです。みなさんならどうしますか?

A、二番をきっぱり断って、一番に行きますか?
B、あるいは二番に嘘をついて、適当な断る理由をつけて、二番を断りますか?
C、一番をあきらめて、正々堂々と二番手をキャスティングしますか?

そんな、判断に迷うことってありますよね。さきほど「正直になる」と僕は言いましたけど、正直な行為というのは、この三択の中では、AとCですね。むしろBは嘘をついてますもんね。で実際いろんなプロデューサーがいますが、どんなプロデューサーもだいたいBを選ぶんだと思います。僕もBを選んできたこともありました。Aは二番目の人と今後の関係も崩れるかもしれませんし、Cは仕事としてもったいないと考えがちですから。

でも、今の自分は、Bを選んでしまうこと、つまり正直に振る舞わない、ってのが実はダメなんじゃないか?って思っています。では何を選ぶか? もし今の僕だったらAをまず選びます。そして二番のタレントさんの事務所に正直に伝えます。正確に言えば、「一番目の人にも同時に当たっている」と、二番目の人が判断する前に正直に伝えていると思います。で、仮に二番目の方と僕が正直に伝えたことでモメそうなら、きっぱりCを選択します。一番目の人を断って(二番目の人が先に決まってしまったと伝えて)、二番目の方で番組を作ると思います。

なぜかというと、結果的にそうした方が、一番目の事務所とも二番目の事務所とも、正直に話すことをしたことで、後々の未来の関係性がよくなるからなのです。その時は揉めるかもしれませんが、どちらの相手も、角田は正直な人なんだって、印象を持ってくれます。そしてその印象が、また次の仕事の機会に生きてくるからなんです。これって、論理的にそう思うというより、結果的にそうプロデュース業をしてきて、それでよかったって感じてるあくまで僕の経験則なのかもしれないのですが。

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