まず妻が死亡するまでの年金記録を見ないといけませんが、未納以外の有効な年金記録が302ヶ月間(25年以上)あるのでここは問題ない。死亡日の前々月までの記録で3分の1を超える未納が無い事という条件があるが、そもそも300月以上(25年以上)ある人は過去の未納がどのくらいあるかとかは見ない。
次に妻死亡時は被扶養者として国民年金第3号被保険者であり、18歳年度末未満の子が居るので夫に支給されるのは国民年金からの遺族基礎年金。
じゃあ過去の56ヶ月間の厚生年金記録の分は支給されるのか。この厚生年金分は妻の有効な年金記録が25年以上あったから貰う事が出来るし、夫が55歳以上だったから貰う権利を取得する事が出来る。
- 夫が貰う遺族厚生年金額→30万円×5.481÷1,000×56ヵ月÷4×3=69,061円
- 夫が貰う国民年金からの遺族基礎年金→781,700円(令和2年度価額)+子の加算金224,900円×2人=1,231,500円
※ 参考
平成26年3月31日までの妻死亡の場合の遺族基礎年金は夫には貰う権利が発生しなかった。平成26年4月1日以降の死亡から年金改正で夫も貰えるようになった。
よって、夫が貰う遺族年金総額は遺族厚生年金69,061円+遺族基礎年金781,700円+子の加算224,900円×2人=1,300,561円(月額108,380円)。
その後は、夫が58歳になると上の子が18歳年度末を迎えて、244,900円減額して総額が1,098,681円となり、夫が59歳の時に下の子が18歳年度末を迎えると遺族基礎年金そのものが消滅して遺族厚生年金のみとなる。
ただし、59歳の時は遺族厚生年金自体も全額停止になる。なぜなら本来は夫が貰う遺族厚生年金は妻死亡時に55歳以上という条件とは他に、支給自体は60歳という制限が設けられているから。でも高校生を卒業する前の子が居て、遺族基礎年金が支給されていたので例外として60歳未満でも遺族厚生年金が一緒に支給されていた。その後、夫が60歳に到達するとその翌月分から遺族厚生年金が復活する。
というわけで、見た目は死亡者が扶養されていたような感じですが、遺族年金貰う人の前年収入や死亡時点の同居の有無(別居でも音信や訪問があったとか何か正当な理由があるものはOK)、死亡者の年金記録がどうなのかを見た上で支給されるかどうかを判断する。
※ 追記
遺族基礎年金が支給される場合は遺族年金生活者支援給付金(年額60,360円)が支給されますが、前年所得が4,621,000円+扶養親族1人につき38万円加算を超えていたから支給されなかったものとしています。
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