中国の「米ドル離れ」とグレートリセットは衰退日本の息の根を止めるか?

 

米中関係と米大統領選挙の行方

中国は、CIPS体制ができたので、香港の国家安全法を施行したようである。香港のペッグ制が廃止されても、中国は人民元中心の国際決済ができるということのようだ。しかし、CIPSは世界貿易決済の1%程度しかない。

もう1つの決済方法として、今まで人民元と香港ドルを交換して、その香港ドルを米ドルに交換してきたが、HSBCへ米国がドル貸出を止めると、香港ドルと米ドルの交換ができなくなる。その結果、香港でもドルペッグ制が使えなくなる。大きな決済手段の1つがなくなるのだ。

中国は、欧米日などのドル決済国との貿易に支障をきたすことになるが、ドルから離れるようである。

米国も中国をドル決済システムから追い出すと、中国との貿易決済ができなくなり、中国からスマホや中国日用品の輸入ができなくなる。米国は、中国へのバッシングを強めているが、ドル決済システムからは追い出せないでいる。

しかし当初、トランプ大統領は口だけの対中強硬の姿勢であり、戦略的な取り組みではなかったが、チェコ上院でのポンペオ国務長官の演説は、米中関係を冷戦期の米ソ対立と比較し「中国共産党の脅威に対抗するのはそれよりもずっと難しい」と述べていた。

そのため、民主主義の同盟国と共に対中国の取組みが必要だとして、戦略的な政策になるとも言う。

中国の宣伝機関である「孔子学院」を1つの外交機関として認可対象としたり、FBIが「中国のスパイが米国の技術を盗み出している」として、中国人スパイを逮捕しようとしている。入国管理では、中国人学生のビザ審査を厳格化した。また、中国先端企業5社との取引がある企業の米国政府への納入禁止など、トランプの対中政策は戦略的な取り組みになってきた。

しかし、クドロー商務長官は中国との第1次協議の合意の履行を協調したり、8月15日の米中閣僚会議を行ってドル決済の利用を制限しないことで第2次協議に入る予定だったが、無期延期になった。クドロー氏は「その他の問題では中国との意見の相違は大きいが、第1段階の通商合意については、われわれは履行している」と述べている。

トランプ政権内で、クドロー商務長官、ライトハイザーUSTR(アメリカ合衆国通商)代表、ムニューシン財務長官などの経済系閣僚とポンペオ国務長官、ナバロ補佐官などの安全保障系閣僚の対立があるように見えるが、現時点では安全保障系閣僚の方の意見が優勢になっている。

米国社会でも、対中強硬派の安全保障系閣僚の意見が支持されているので、強い対応を取るトランプ大統領の支持率が上昇してきた。

もう1つ、シカゴの略奪事件などで黒人の暴動に嫌悪感が出てきたため、トランプ支持が伸びている。「隠れトランプ支持者」が増えているようだ。

つまり、トランプ大統領「再選」の可能性が出てきている。ニューヨーク・タイムズなどは、郵便投票を推進し、かつ大統領候補同士の討論会の中止を言い始めており、討論に弱いバイデン候補を応援し始めている。

print
いま読まれてます

  • 中国の「米ドル離れ」とグレートリセットは衰退日本の息の根を止めるか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け