中国の「米ドル離れ」とグレートリセットは衰退日本の息の根を止めるか?

shutterstock_1725604774-2
 

米中が軍事の面でも経済の面でも覇権争いを続けている中、中国の「ドル離れ」が加速しているようです。ドル基軸通貨を使用しない貿易決済を進め始めている中国の動きを伝えるのは、日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さん。津田さんは、自身のメルマガ『国際戦略コラム有料版』の中で、世界貿易に占める割合がトップの中国による「ドル離れ」がこのまま加速すれば、米ドルの基軸通貨としての地位が揺らぐと予想しています。

銀行に「ドル決済システム」を使わぬよう指令した、ドル離れの中国

米中対立で、中国は国際的なドル決済システム「SWIFT」(国際銀行間通信協会)から追い出される可能性を考え、ドルの貿易決済から人民元の貿易決済にシフトする必要が出てきた。

その中国は、2015年に人民元の国際決済システムのCIPS「Cross-Border Interbank Payment System」(国際銀行間決済システム )を作り現在、世界で2000銀行が加入。日本のメガバンクも参加している。

中国政府は、中国の銀行に対して「ドル決済システムを使わないでCIPSを使え」と指令した。主に一帯一路に関係する国との間で使い、2019年実績で1日当たり1753億元の取引がなされている。

ドルはもう1つ、原油取引の主要通貨であるが、これも中国は人民元取引の原油先物市場を作り、それを通じて原油を購入し始めている。

このように、中国はドル基軸通貨を使用しない貿易決済を行い始めている。特に、2020年にはドル利用をしないよう銀行に指令しているので、中国のドル離れが進んでいる。この中国が世界貿易に占める割合がトップであり、そのためドル基軸通貨の地位が揺らぎ始めている。

逆に、外交問題評議会の雑誌『FA(フォーリン・アフェアーズ)』で、「ドルの基軸通貨を捨てて、貿易赤字を減らした方が良い」という意見が出てきた。ドルをどうするのかという議論が今後出てくることになるだろう。

その上、パウエルFRB議長が「インフレでも金利を上げるつもりはない」と発言したことで、ドル通貨量は上昇し続けると投資家は判断した。

これらを受けて、ドル信認の低下が起きているため、ドル安方向になってきた。次の基軸通貨は人民元ではなくユーロだろうと、ドル売りユーロ買いが出てくる。米長期金利の上昇でドルを買い戻す動きも出ているが、一時的であろう。

print
いま読まれてます

  • 中国の「米ドル離れ」とグレートリセットは衰退日本の息の根を止めるか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け