「幸せ」は曖昧。まず追求すべき「不幸にならない」最低条件とは

 

4番目が「承認欲求」。自尊心、自信、達成、他人からの尊敬や承認。自分が集団から存在意義を認められ、尊重されたい欲求。このあたりから幸せの条件に関係しそうだ。自尊心が持てない、自信がないという状態は幸せな気分になれそうにない。しかし、自尊心が強く、自信が持てたとしても、不安がなくなるわけではない。

他人からの尊敬や承認は、地位や権力に直結している。高い地位につけば、尊敬は得られるが、この場合も、その地位を保つことを考えなければならないし、地位から落ちることに対する不安も出てくる。また、多数の人から尊敬されなくても、少数の人でもいい、という場合もあるだろう。承認欲求も幸せの条件ではなさそうだ。承認欲求を持たない方が幸せになる可能性もあるだろう。

5番目が「自己実現欲求」。道徳、創造性、自発性、問題解決、事実の受諾。自分の持つ能力や可能性を最大限に発揮したいという欲求だが、これはビジネスで成功する欲求ともいえるのではないか。しかし、ビジネスで成功しても、プライベートな暮らしで不幸になるケースもある。「欲求」とは幸せに直結した概念ではなさそうだ。

3.充実しているが不安定な仕事

子供の頃、親や学校の教師から、一生懸命に勉強して良い成績を取れば、良い学校に進学できて、良い会社に就職できることを教えられた。しかし、親が個人事業主であったこともあり、サラリーマンになりたいと思ったことはなかった。

この時点で勉強するモチベーションがなくなったが、勉強は好きだった。勉強は面白いが、受験勉強は面白くない。受験勉強は記憶力の勝負であり、面白い学問をつまらないものにしていると思った。私は記憶することより考える力が大切であり、覚えなくても、本を開けばいいと考えた。

私は大学ではなく専門学校を選び、卒業してから企画職で就職した。サラリーマンで競争に勝って、出世したいという気持ちは全くなく、プロとして転職しながらキャリアを磨き、独立しようと思った。そして、アパレル3社を経て、30歳で独立した。

「好きなことを仕事にして夢が叶ったね」と言われたが、こんな簡単なことが夢であるはずはない。むしろ、「好きなことを仕事にしなくてどうするんだ」と思う。「こんなことがしてみたい」という仕事のビジョンを立て、ほとんどは達成した。やりたいことを整理して、紙に書いた段階で、半分以上は計画ができている。あとは、実行するだけだ。

本も出版したし、大学や専門学校の講師も経験した。一応、業界のオピニオンリーダーにもなり、役所でも意見を聞かれるようになった。国内の大企業、中小企業とも契約し、海外企業とも仕事をした。でも、全ては「スケジュールを立て、期日までにやるべきことをやる」という繰り返しに過ぎない。

達成していないのは、経済的な安定だけだ。普通の人が一番先に考えるべきことを全く考えずに生きてきた。だから、常に不安定であり、今も不安定なのだ。

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