まるで半沢直樹のよう。パナソニックのお荷物部署を救った立役者たち

 

山下俊彦さんが起こした奇跡

1.ストばかりしていたウェスト電気の立て直し

山下さんが常務として出向したウェスト電気は、ワンマン社長と戦闘的な組合長のもとでストばかりしている会社でした。最初に行ったのはお金の調達で、本社、出向元の電子工業をたらい回しにされ、やっと電池事業本部の助け舟で工面できたという状況です。ストは続き、自宅の塀にビラを貼られる嫌がらせもあったのでした。

ストが収拾するきっかけは、組合長がスト中に山下さんの家へ来て酒宴となり、それを組合員に見つかったことで、信用がガタ落ちになったからでした。

交渉で社員の気持ちが落ち着いたのを見計らって、山下さんは組合幹部、会社幹部全員の前で、経理責任者から会社の現状が給料も払えない状況であることをありのままに報告させます。

朝から深夜まで報告会で現状を十分に認識してもらったことで、何をすべきかは自ずから明確になり、再建がスタート。

再建計画を示し、幹部の意思を明確にして全員に徹底し、その改善の過程を「ガラス張り」してからは、社員の努力の結果がすぐに現れ、それが励みとなって力が入り、2年目には再建の見通しがついてのでした。

2.お荷物になっていた冷気事業部を業界一位のシェアに

会社はこれまで電化製品ばかり手がけていたため、大型のものは不得意でした。「暮らしの手帖」誌評価でも最下位。そこで幹部を集めて、徹底的に問題点を洗い出し、改善を取るように指示して、「ともかく品質でどこまにも負けないようにせよ。それまで売ってはいかん」としたのでした。

最下位の汚名を返上すべく、一丸となって取り組んだ結果、評価はぐんとよくなり、さらにこの間、物品税の税率のアップにも値上げせず、我慢して押し通した結果、4年後に業界一位のシェアとなりました。

また、季節商品のため天候に売れ行きが大きく左右され、そこで計画段階で全員の知恵を集めて徹底的に考え抜き、ムダを排除したのです。

他にもこんな事例もあります。毎年新入社員が入ってくると、製造、販売の実習を行うのですが、エアコンの最需要期に増産体制に入り、新入社員に協力してもらうことにして、実習生だけでラインを組んでみたところ、自分たちだけでラインを動かさなければならないという責任感が生れ、全力を出したのです。それだけに、生産目標達成の喜びはひとしおだったのだといいます。

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