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給与や賞与はあって当然。なぜ我が社の従業員はやる気を出さないのか?

企業で働く従業員たちのやる気を引き出し、積極的にがんがん動いてもらうためにはどうすればよいのか。これは、企業経営者や多くの部下を抱える上司たちの永遠の悩みなのかもしれません。今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では著者で経営コンサルタントの梅本泰則さんが、経営者や上司の目線で、「従業員たちがどうしたら楽しく働いてくれるか?」を具体的に考察しています。

人に動いてもらう「経営」とは?

企業の組織を構成するのは人間です。人間は機械のようには動いてくれません。そのため、経営では「モチベーション(やる気)」の研究が盛んに行われています。今回は「やる気」の話です。

「経営とは何か?」という問いに、あなたはどう答えられますか。

「経営とは、企業を継続させることである」
「経営とは、時流に適応することである」
「経営とは、判断、決断することである」

いろいろな答えがあります。この3つの答えは、どれも正しいです。そして、東京理科大学院の佐々木圭吾教授はこう言っています。

「経営とは、いかに人間に動いてもらうかということである」

そうなんです。従業員はもとより、会社や商店に関わる人たちに動いてもらわなくては経営は出来ません。そして、経営者の望むように動いてくれてこそ、会社の継続や時流への適応につながっていきます。もちろん、動いてくれても思ったような成果があがらないこともありますが、それはそれでもっと別の原因があるはずです。

それはともかく、会社に関係する人、特に従業員に動いてもらわなくてはいけません。実は、これが難しいことなのです。

あなたのお店の従業員は、あなたの思い通りに動いてくれていますか。「指示をしておいたのに、少しもやってくれない」「伝えておいたのに、伝わっていない」といったようなことはないでしょうか。

中には、忠実に指示や命令をこなす優秀な従業員もいますが、そんな人ばかりではありません。ですから、経営の目的が「人に動いてもらう」ということに、納得がいきます。

では、どうしたら人に動いてもらえるのでしょう。

動いてもらう方法

ここで「やる気」の問題が出てきます。

経営者や上司の指示命令に対して、「やる気」があれば素直に実行に移すことでしょう。しかし、そうでない場合は、十分に実行しないかもしれません。どうしてでしょうか。それは、その従業員が指示や命令を受け入れていないからです。

人にはそれぞれの考え方があります。また、それぞれ育った環境や経験が違います。たとえ経営者や上司といえども、自分の考えと違うことは素直に受け入れられるものではありません。

では、なぜあなたのお店で働いているのでしょうか。自分の夢を達成するためとか、自分が成長したいといった、高い次元の目的を持った従業員もいるでしょう。そうした従業員には、経営者や上司の指示命令が受け入れられやすいです。

しかし、多くの従業員は「報酬」や「ご褒美」のために働きます。少しでも多くの給料が欲しいというのが現実でしょう。それで家族を養わなくてはなりません。安定的な生活も送りたいのです。これが一つの「やる気」のもととなります。ですから、経営者は「賞与」を出して、「やる気」を高めてもらおうとするのです。

かつて「目標管理制度」という成果主義が流行りました。これも「ご褒美」で「やる気」を出してもらおうという制度です。「提案制度」や「販売コンテスト」も、それと同じ流れになります。「やる気」を出して動いてもらうためには、「お金」が一番手っ取り早いということでしょう。「昇進」とか「栄転」というのも「ご褒美」ですね。

さて、経営は「人に動いてもらう」ことでした。本当に「報酬」や「ご褒美」だけで動いてもらえるのでしょうか。

重要なポイント

残念ながら、人間はそんなに単純には出来ていません。それぞれに「自分」というものがあるからです。いくら「報酬」が良くても、いやいや働くということもあります。それでは、本当に動いてもらっていることにはなりません。ですから、経営者は従業員に楽しく働いてもらうことが必要です。

ところが、この「楽しく働く」ということが一筋縄ではいきません。難しいことに挑戦するのが好きな人もいます。ただコツコツと作業をこなすのが好きな人もいます。人との接触が好きな人もいます。何が楽しいかということは、まさに人それぞれです。つまり、そうした人たちをお店は雇っています。その人たち全部に楽しく働いてもらうのは、本当に難しいことです。どうしたらいいでしょう。

そのためには、経営者は人をよく見なくてはいけません。そして、その人にあった仕事を担当してもらうことです。例えば、数字が苦手な人やおおざっぱな人に、経理や管理を任せてはいけません。対話が苦手な人に接客や営業は任せられないでしょう。リーダーシップがあるかどうかも見ることです。人は、自分の特性や能力にあった仕事は楽しくやります。これが人に動いてもらう経営のポイントです。

とはいえ、だからといってそれで経営がうまく行くとは限りません。実は、「人に動いてもらう」ための一番重要なポイントは、あなた自身にあります。つまり、経営者が「やる気」を持つことです。経営者の「やる気」は、従業員を動かします。単純なようですが、それが一番の特効薬です。

もう一度言います。周りの関係する人たちに動いてもらう根本は、経営者自身にあります。「やる気」をもって、自分の考えを伝え、望む方向を指し示すことです。

ところで、あなたの「やる気」のもとはどこにあるでしょう。「夢」でしょうか、それとも「思い」でしょうか。それが「報酬」だとしたら、人は動いてはくれないでしょう。ぜひ、人に動いてもらって良い経営をしましょう。

■今日のツボ■

・経営とは、人に動いてもらうことである
・人は指示命令を受け入れなくては、動かない
・経営者が「やる気」を持てば、人は動いてくれる

image by: Shutterstock.com

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ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表。スポーツ用品業界での経験と知識を生かし、業界に特化したコンサルティング活動を続ける。
スポーツ用品業界在籍33年の経営コンサルタントが、スポーツショップの業績向上法について熱く語ります。スポーツショップのために書かれた、日本初のメルマガです。ここには、あなたのお店がかかえている問題を解決するヒントがいっぱいです。

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【著者】 梅本泰則 【発行周期】 週刊

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