法には触れぬが極めて悪質。不動産業界にはびこる顧客大損の悪習慣

 

「囲い込み」をされている物件は、どのように扱われてしまうかというと…不動産会社の営業マンは、レインズをチェックして、物件を探しているお客様に合った情報が新たに登録されていないか、毎日のように確認しています。

一般に、不動産を売りに出したとき一番引き合いが多く売れる確率が高いのは、レインズに登録して2週間程度といわれています。できる営業マンは、こまめにレインズの新規登録を確認し、仲介取引を行なうからです。

しかし、レインズに登録されている物件が、不動産会社の「囲い込み」により紹介されなかったとすると、売主にとっては、「早く、希望通りの価格で」売れる機会を損失することになってしまいます。

問い合わせがあったことは売主に知らされることもありません。これは、依頼者に対する重大な背信行為と言えるのではないでしょうか。一方、買主にとっても希望に合った物件が買えるチャンスを失ってしまうことになります。

こうして、物件は買い手がつかないまま、放置された物件は、「売れ残り物件」としてネガティブなレッテルさえ張られてしまうのです。売りに出してから3ヵ月以上買い手がつかないのは、何らかの「売れない原因」があると意識されてしまうのです。

売れない原因が「囲い込み」にあることをひた隠し、「売れないのは価格が高いのが原因」と言って値下げを提案します。「囲い込み」によって、本来ならば成約していたはずの物件が、売主も買主も望まなかったような結果で終わるのです。

不動産業界が本当にお客のことを考えるクリーンな業界を目指したいなら、一刻も早く「囲い込み」をやめるべきと、業界の将来を考える人はいいます。「囲い込み」をなくすには、「両手仲介の禁止」「手数料の自由化」「レインズ情報の一般公開」の3点セットが欠かせない。両手仲介をしなくても経営が成り立つ環境を整え、一般の人も情報に触れることができるようにすることが、業界の悪習慣を一層するには必要だと…。

この悪習慣を変えるには、まだ時間がかかるでしょうから、消費者側も自衛しなければなりません。ところが、ある調査で、「囲い込み」と「両手仲介」というものの存在を、8~9割の人が「全く知らない」と回答していると言います。まったく知らない状態で、「囲い込み」にあい、せっかくのマンションが適正な価格で売却できない…というようなことがないよう、不動産会社に売買依頼をする際には、囲い込みをする業者でないか十分に注意したいです。

中古市場の活性化というなら、まず、この「闇」を何とかしてほしいです。

image by: Ned Snowman / Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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