マイクロソフトのGitHubのケース
2014年からマイクロソフトのサテイア・ナデルも、サンマイクロシステムズ出身者である。ナデル氏は2018年8月にGitHub社を75億ドル(8200億円)で買収。GitHub社は2008年に設立された、ソースコードをホスティングする会社として急成長した会社である。
ソースコードは定義があいまいだが、要するにエンジニアがソフトを開発するのに使うコンピューター言語をどんどんバージョンアップさせているので、どのバージョンを使ったソフトなのかなど、プログラミング言語の管理を簡単にし、公開して、参加者を増やすためのプラットフォームと、私は理解している。
面白いことにナデル氏はこの買収後、GitHub社のノウハウの一部を国際標準化しようとしている。これはゲイツ氏の対オラクルの戦略の真逆のように表面的には見えるが、実はそうではない。
オラクルが買収したJavaに対抗するため、Javaに替わるEmcaScriptという標準言語で、「標準化のうま味」を経験したマイクロソフトは、標準化とパテントをバランスよく使うことの戦略的な意義を理解しているのではないかと思う。
これは、私の戦略と同じなのである。
標準化で世界中で使ってもらう素地をつくり、しかし、付加価値が高い部分でのテクノロジーで、誰でも(裁判官でも)使っていることが分かる部分についてはパテントを取る。
そして、裁判所で相手が使っているかを証明しにくいところは、コカ・コーラ方式で公表しない。この3つのバランスがGAFA+Microsoftに対抗するための大枠の戦略である。
日本がまたテック大国に戻るためには、GAFA+Microsoftに対抗するためのプラットフォーマーになるには、どうすれば良いかを考えられる人々が複数人必要なのである。
何故なら、アメリカにも中国にもかならず数人いるのであるから。
今回は以上。
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