「戦狼外交」とも呼ばれるその強気の姿勢から「怖いものなし」のようにも見える中国ですが、彼らが「武力による国家間戦争」より恐れているものが日本に存在しているようです。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんが取り上げているのは、博覧強記の評論家が我が国の秘めたる力や先進性を紹介した一冊。世界が日本のソフトパワーを認め、そして恐れる理由も記されています。
偏屈BOOK案内:日下公人『日本発の世界常識革命を 世界で最も平和で清らかな国』
日下公人 著/ワック
著者は日本経済の名ナビゲーターであり、未来予測の正確なことに定評がある。ものすごく重要なことをさらっと書く。こんな凄いネタを惜しげなく、しかもユーモラスに書いていいのか、欲のない人だなと思う。この本は月刊誌『WiLL』に連載中の「繁栄のヒント」を、一部改題加筆して構成したものである。
「現憲法を廃止すれば十七条憲法が復活する」……って、どういうこと?憲法廃止について考える。改正ではなく、廃止である。著者はそれが日本に一番マッチしているという。第一の理由は、なくても困らないから。ホントにそうですね。第二に、なまじ憲法があるために、いろいろな憲法論が登場するから。第三に、イギリスなど、憲法をひとつの聖典にしていない国があるから。
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日本で現憲法と明治の帝国憲法を廃止すれば、実は聖徳太子の十七条憲法が復活するかもしれない。まだ廃止されていないからである。「和を以て貴しとなす」なんて、世界憲法にしたいくらいだ。ヨーロッパのどこかの国の憲法では、国防軍の災害出動は厳禁…そのときを狙って外国軍が侵略してくるかもしれない…と書いてあるらしい。自衛隊が災害出動時、アノ国の動向に要注意だ。
アメリカの裁判も日本に学んで「証拠開示制度」をつくったら和解率が上昇し、日本に近づいてきた。証拠を先に見せ合うもので、後出しジャンケンは認められない。これにより専門家は判決の予想がつく。勝ってもこれくらいかと思えば話が早い。無駄な費用と時間が節約されて「和解」になる。考えてみれば日本は昔からこんな裁判をしてきた。
世界が日本に似てきたものがもうひとつ。
子供がもっている人間観、家族観、社会観、国家観と道徳観が日本もアメリカもよく似てきた。日中間もホントはそうなっていると思う。日本のマンガ、アニメ、映画、ゲームは子供の世界から広く深く大人にも浸透しているからで、それがソフトパワーである。武力による国家間戦争よりこの方が重大だと中国共産党は恐れているそうだ。
おそるべし、日本のソフトパワー。
アメリカ国務省の人は、「これから日本へゆくが、まず子供にマンガの勉強を教わってからゆく」と言っていた。日本のソフトパワーは笑わせながら勝つから、無手勝流で、これを武器に使うとよい。
あるアメリカ人が「ヒラリーが負けてホントーによかった。もし勝っていたら世界は戦争続きになる」と言っていた。「ヒラリーは病人だ。長くは続けられない」という看護系の人も。
ヒラリーとトランプがぶつかったとき、メディアやシンクタンクや評論家・学者はヒラリー側についていた。日本の新聞・テレビもそうだった。予測が大外れで全滅したから、全滅の理由を調べるメディアもないという惨憺たるもの。これは一般読者の方が常識豊かで、ヒラリーの方が焦っていたと今なら分かる。アメリカ人よりも日本人一般の常識の方が落ち着いている。
高度情報化社会がくると言われたが、日本はとっくにそうなっていたようである。
編集長 柴田忠男
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