コロナ解雇7万人超を無視。菅内閣が目指す「冷たい国」ニッポン

 

なのに今回は、コロナ禍でさらに浮き彫りになった「雇用の調整弁」としての非正規問題は見て見ぬふりをされている。「アフターコロナ」にむけて社会保障のあり方も見直す必要があるのに、そこへの“温度感”が全く伝わってこない。というか、見てもいないのです。

雇用調整助成金の特例措置は、21年1月以降も延長するとされていますが助成規模は縮小されるので、効果は限定的。体力のある大企業の正社員以外は、「明日は我が身」となるやもしれない不安定な状態が続くのです。

同一労働同一賃金はおろか、働く場をどうやって確保するか?どうやって生活を維持しながら、スキルを磨く機会を得ることができるか?

コロナ解雇にあった労働者も含めた非正規雇用のあり方を、今、議論しなくてどうする?と思うのですが、“上”の人たちの視界には“上”に登ってこられるだけのリソースを持った人たちしか入っていません。

格差問題は複雑に問題が絡み合っているので、簡単に解決できるものではない。しかし、「自助、共助、公助の国づくり」を豪語するなら、まずは「こぼれ落ちない」ように社会保障の議論を優先させることが必要なのに、それがない。「冷たい国」を目指しているとしか思えません。

ただ、政府の方針は「私」たちの写し鏡です。

今回のような意見を書くと「政府だけ批判して社会主義国でも目指すのか!」と揶揄する人が増えたことは、いちばん気になるところです。

きっと…「自分だけは大丈夫」だと思っているのでしょうが、格差拡大が意味するのは、「明日は我が身」だってこと。その想像力を持てる人が1人、また1人と増えていくことが肝心だと思います。

みなさまもご意見、お聞かせください。

image by: 首相官邸

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