1個5万円の高級りんご栽培法が教えてくれた「強みづくり」のコツ

 

さらにさらに言うと、林檎づくりはここで止まっているのではなくて、時期によりさまざまな種類の栽培が試みられ、それぞれの品質が高まるように「有袋栽培」なども取り入れて改良・進化させて行きます。品質安定と向上のため生産者が一体となって取り組んできた結果「江刺りんご」はブランド化され、高く評価されるようになったそうです。

※ ここで誤解なきように余計な解説を付言いたします。よき実りをもたらす「人においての“かたちののいいもの”」についてで、それは俗にいうエリートと称される者たちでは決してありません。社会人としての“かたちのいいもの”とは、あるべき“価値観”に共感できてそして“真摯”であるすべての人達のことです

長々と林檎の話をしましたが、ここには今日的な「知識戦略の“強み”づくりのベスト・プラクティス(最優良事例)」の基本があり、またいろんな意味おいても凝縮されており、ついつい冗舌になりました。満足商品やサービスはどのようにしてつくれるのか、それは功利的な手法では不可能で、高次欲求を充足させることによってのみ発現します。

21世紀の今日において、すべての企業の「存続と成長を可能とさせうる要件」は、結論的に言うと「人をして最高の知識(知恵)と実行をどのように引き出せるか」にひとえにかかっています。

ここで、ドラッカーの言葉を引っぱってきますと。「組織は天才に頼ることはできない。天才は稀である。当てにはできない。凡人から強みを引き出し、それを他の者の助けとすることができるか否かが、組織の良否を決める。同時に、組織の役割は、人の弱みを無意味にすることである。要するに、組織の良否は、そこに“成果中心の精神”があるか否かによって決まる」とあります。

さて具体的にどのように考え、どのように実現させるのか。事は人に関わることなので画一的な組織論理では処しえず、本質を踏まえた人間性摂理に真摯に向き合うこと以外に法はないようです。パナソニックにその実現事例がありトヨタにもあり、そこで今回はトヨタの“カイゼン”の創始者「大野耐一さん」の核心からそれを見ます。

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