問題はそのような混乱を中国はしっかりと自分たちで乗り越えながら、近代的な国家に脱皮してゆかねばならないのです。もう途上国ではないと宣言するのなら、途上国型の独裁も返上すべきです。また、そうでなければ、やがて国は行き詰まるでしょう。
いずれにしても、そのような動揺、それも本質的な動揺が見えてきたというのが、この4年間の中国に出てきた兆候です。そこでアメリカはどう振る舞えばいいのか、そして日本はどう振る舞ったらいいのか、単にインド太平洋戦略を掲げて囲い込むだけでは全く足りないと思うのです。
問題はとりあえず1つ。中国が内政の混乱を対外的な軍事的緊張に転化するというのは、絶対に阻止するということです。
どうなんでしょう?バイデン=ブリンケン=カート・キャンベルといった、90年代から対中外交を見てきた面々に、そうした新しい時代への問題意識が持てるのかどうか、時間はそんなにないと思うのです。(メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』より一部抜粋・文中一部敬称略)
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