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もしも大地震で自宅に住めなくなったら。平時から決めるべき避難先

先日掲載の「大地震に遭遇しても『マンションのトイレ』にだけは逃げ込むな。その理由」では、自宅マンションで大地震に遭遇した際、どこに逃げ込むべきかについてレクチャーしてくださった、マンション管理士の廣田信子さん。廣田さんは自身の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』で今回、揺れが収まった後に身を寄せる避難場所について考察するとともに、高層階居住者に対しては家族構成を考慮に入れたシミュレーションを行うことを強く勧めています。

【関連】大地震に遭遇しても「マンションのトイレ」にだけは逃げ込むな。その理由

大地震、最悪を想定して避難のシミュレーションを

こんにちは!廣田信子です。

大地震が発生した場合、とにかく一番大事なのは、自分や家族の身を守ること。そのために、自宅内のどこに逃げれば安全か…をシミュレーションしておくことが重要だということを昨日は書きました。

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では、一旦揺れが収まったあとはどうしますか?もちろん、被災状況によって対応は変わってきますが、私は、最悪を想定して、その場合の対応を考えておいてほしい…といつもお話ししています。

室内は、怪獣にひっくり返されたように、家具が倒れ、電気製品が移動。ものが散乱していて、ガラスの破片が飛び散り、冷蔵庫の中のものも飛び出しています。電気、ガス、水道すべてのライフラインが止まっています。トイレも使えません。

もし、これが夜中なら、この状況を目視で確認することすら難しいのです。懐中電灯と履物がなければ、家の中を移動することすら難しくなります。スマホは、明かりをとる意味でも、情報を得るためにも、重要な役割を果たしますが、電池式の充電器や手回し充電等、充電できるものがないと不安ですが、それは手元に用意されていますか。

もちろん、エレベーターも止まっています。共用廊下等の非常灯はついていますが、45分もすれば、非常灯も消えます。明かりのあるうちに、やるべきことをやらなければなりません。

明るくなって、自宅内の惨状が明らかになったとして、その後はどう行動しますか。高層階に暮らしている人にとっては、1階との往復も困難を極めます。ここで、自宅にこのまま留まるか、どこかに避難するか…を決めなければなりません。

小さなお子さんや高齢の方がいる場合、ライフラインが途絶え、夜は真っ暗、余震が続く、そんな状態で、高層階に留まることができますか。ぜひ、普段からシミュレーションしておいて下さい。

一番は、被害が比較的少なく、地上に近いところの親族、知人宅に避難することです。ホテル避難も考えられます。実際、熊本等の被災地では、建物が無事でも、余震がある中、マンションの高層階に留まることができずに、避難所に避難したり、何日も車中泊したマンション住民がいました。

高層階から階段で何とか降りてきたものの、二度と階段で自宅に戻れなくなった高齢者の方もいます。マンションは在宅避難が基本といいますが、そうはできない状況が発生するのです。コロナ禍の今は、避難所の収容人数も限られます。小さなお子さんや高齢の方がいる場合は、避難場所について平時から親族や友人とも話し合っておいてほしいです。

そこへの移動手段の検討も必要になります。普段から、もし災害でどちらかが自宅で生活できなくなったら、お互いの家に避難し合おうという話をしていれば、避難もしやすくなります。大震災で、自宅で生活ができなくなったら、避難する場所を考えておくことも自助のひとつだと思います。

そして、家族全員で避難する場合は…通電火災を防ぐため電気のブレーカーを切り、通水時の漏水を防ぐため水道の元栓を締め、避難先と連絡方法(携帯電話、メールアドレス等)を管理組合に届け出て、両隣に声を掛けてください。これは、大事なことですので、絶対に忘れないでくださいね。

特に、高層階に暮らす小さなお子さんや高齢の方がいる家庭では、3・11から10年の節目に、一度シミュレーションをしていただきたいと思います。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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