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中国を笑えなくなった日本。“無観客”五輪のために倒産を推し進める強権国家の末路

開幕予定日まで1週間を切り、ほとんどの会場で無観客での開催となった東京五輪。精神科医として医療の現場に立ち、アテネオリンピックに招かれた経験も持つ和田秀樹さんは、自身のメルマガ『テレビでもラジオでも言えないわたしの本音』で、五輪をひかえた日本がお酒を出す店に銀行を使って圧力をかけようとするなど、政治が倒産を推し進めるような手法を「まさに強権国家」だと批判。さらに、インフルエンザの死者よりもはるかに少ない新型コロナ感染症による死者数で騒ぐ日本政府に対して、「市民生活に規制を続ける神経が信じられない」と持論を展開しています。

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中国を笑えない強権国家ニッポンの「オリンピック無観客開催」

中途半端な形で私の予想が当たったのが、オリンピックの無観客開催だ。

私は菅という人間が小池氏より役者が上で、サプライズ的に無観客開催を宣言して人気を回復するとみていたが、感染者が増えたということで、周囲に押し切られる形(に見えるような形)で無観客開催になった。

これでは、菅の人気が上がるどころか下がってしまう。

ついでに東京都に緊急事態宣言が発令され、お酒も出せなくなった。

西村という大臣は、銀行を使って、開けている店やそこにお酒を卸す業者に圧力をかけると言った。

政治が倒産を推し進めるような圧力をかけるという前代未聞の政治手法だ。左翼政党がやるならともかく、保守政党がやっていいことか?

まさに強権国家である。よくこれで中国が批判できるものだ。

菅という人の勘が狂ってきて、大衆をだます能力が大幅に低下しているようだ。

NHKの日曜討論か何かで、中国の元大使が、中国だって長い目で見たらマシになっている話や、ほかの論客が、たとえばミャンマーよりひどい軍政の国があるのに特定の国だけを非難するのはいかがなものかという考えを表明していたが、日本のコロナ対応はそれを笑えないほどひどい。

イギリスは、大規模なスポーツイベントでマスクをつけなくても大量に人を入れて感染が増えたと日本のマスコミは騒いでいるが、ワクチンを打っているので死者が増えないから、と冷静だ。

日本は、このままワクチンを打ち終わっても感染者が増えたと騒ぎ続けるのだろうか?

東京の死者数だって、一日一人とか数人のレベルだ。

年に1000人も死なないような(つまりインフルエンザの10分の1ということだ)感染症で市民生活に規制を続ける神経が信じられない。

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たまたま『ゴルゴ13』が「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」としてギネスに認定されたとのことでニュースになっていた。

そのゴルゴの名セリフとして、「その正義とやらは、お前たちだけの正義じゃないのか?」.というのが取り上げられていた。

まさにコロナの自粛論者に聞かせてやりたいセリフだ。

麻生元首相が愛読者らしいが、彼にそんな発想ができるとは思えない。

かっこいいスナイパー漫画としか受け止めることができず、哲学がわからないなら小学生レベルの知能と言われても仕方がない。

もともと麻生氏は、認知的成熟度が低く、コンクリートなものの見方しかできない人のようだ。

米を中国に輸出すべきかについて「アルツハイマーの人でもわかる」と言ったが、アルツハイマーが、スペクトラム、つまり幅のある概念であることが理解できていない。

レーガンやサッチャーが退任後数年してアルツハイマーを告白したが、その時点で言語崩壊のレベルだったから、おそらく在任中でも物忘れくらいはあったはずだ。つまり初期のアルツハイマー病を発症していたことになる。

つまりアルツハイマーは軽いうちなら総理大臣でも大統領でも務まるし、麻生氏より賢いアルツハイマーの人もいくらでもいるということだ。

いっぽう、それが進行すると通常の会話も身内の顔も理解できなくなる。

要するに「アルツハイマーの人でもわかる」というわけにはいかない。

こういうものごとについて、固定的な理解しかできず、程度とか幅とかを考えられない人を認知的成熟度の低い人という。

認知的成熟度が高ければ、白か黒かでなく、グレーの程度でものが判断できる。

怖い病気か怖くない病気という二項対立でなく、どの程度怖い病気という判断ができるから、インフルエンザより死なない病気を感染が広がっているとあわてることはない。

悪い国かいい国かでなく、どの程度という判断ができるから中国をアフリカの独裁国以下の扱いで報じることもない。

そういう点でゴルゴ13は正義の相対化ができているだけでも、さいとうたかを氏の認知的成熟度の高さを示している。

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日本人の認知的成熟度の低さは、とくに人の死がからむとひどいものになる。

一人でも死んだら法律を変えろという騒ぎになることも珍しくないし、そのことのメリットも論じられない。

コロナだって、「この程度の死者数まで減ったのだからよしにしよう」という議論ができず「まだ人が死んでいるのだから」という話になってしまう。

小林よしのり氏が指摘しているように日本では毎年5000人以上の人が家庭の浴槽で溺死している。

欧米のようにシャワーにすればそんなことが起こらないのだから、人の命が大切なら浴槽を禁止にすべきだが、そんな議論をする人はいないだろう。

ついでにいうと、2004年時点では、風呂での溺死者は2870人でこの10年で2000人は増えている。これは高齢者が増えたためだ。

お年寄りが風呂で死ぬからと言って若い人の風呂に入る権利を奪うこともない。

あるいは、一日20人くらい死ぬからと言って、人々が湯船につかってリラックスする権利を奪おうという話にはならない。

ところがコロナでは東京の死者数が一日一人とか二人という数字になっても、人々が集まって会話をすることを禁じ、お酒を飲むことを禁じ、夜遅くまで働いている医療関係者が食事をするお店もないという状況だ。

ミャンマーや中国だけが悪い国のように扱うのと同じくコロナだけが悪い病気のようだ。

認知心理学の世界では、まさにおバカさんの思考パターンなのだが。

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image by: 首相官邸

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高齢者を専門とする精神科医、学派にとらわれない精神療法家、アンチエイジングドクター、そして映画監督として、なるべく幅広い考えをもちたい、良い加減のいい加減男。

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