政府や企業の最高機密が盗まれ続けている恐れがあるのです。今世紀の初め頃、米国の国防総省にハッカーが侵入し、5〜6年にわたって気づかれなかった「ムーンライト・メイズ(月光の迷路)」事件が米国政府を震撼させましたが、この事件でも明らかなように、最高レベルのハッカーは侵入した痕跡すら残さないのです。
私の友人のホワイトハッカー(米国人)は、「気づかれないように侵入し、何週間も動かないこともある。そして目的の情報にじりじりと接近していき、最後は情報全体を手に入れて、相手が侵入されたことに気づかないように静かに立ち去る」と、その手口を教えてくれました。これを防ぐ手立ては、世界最高レベルのホワイトハッカーにこちら側を不断にチェックさせ、誰も侵入できないレベルを維持し続けることしかありません。
日本には、その能力はもとより、普通のサイバー攻撃に対処する能力も備わっているとは言えません。それがわかっている米国は、日本がセキュリティ・ホールになって情報が盗まれることを恐れ、同盟関係の軍事情報も差し障りのないものしか提供していません。
私が報告書を出して18年。そのときの指摘事項はほとんど手をつけられていません。そんなことだからデジタル庁などというとぼけた発想になるのです。これを国家の危機と言わずして何というのでしょうか。(小川和久)
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