18年前の指摘も放置。日本のサイバーセキュリティの危機的な現実

 

政府や企業の最高機密が盗まれ続けている恐れがあるのです。今世紀の初め頃、米国の国防総省にハッカーが侵入し、5〜6年にわたって気づかれなかった「ムーンライト・メイズ(月光の迷路)」事件が米国政府を震撼させましたが、この事件でも明らかなように、最高レベルのハッカーは侵入した痕跡すら残さないのです。

私の友人のホワイトハッカー(米国人)は、「気づかれないように侵入し、何週間も動かないこともある。そして目的の情報にじりじりと接近していき、最後は情報全体を手に入れて、相手が侵入されたことに気づかないように静かに立ち去る」と、その手口を教えてくれました。これを防ぐ手立ては、世界最高レベルのホワイトハッカーにこちら側を不断にチェックさせ、誰も侵入できないレベルを維持し続けることしかありません。

日本には、その能力はもとより、普通のサイバー攻撃に対処する能力も備わっているとは言えません。それがわかっている米国は、日本がセキュリティ・ホールになって情報が盗まれることを恐れ、同盟関係の軍事情報も差し障りのないものしか提供していません。

私が報告書を出して18年。そのときの指摘事項はほとんど手をつけられていません。そんなことだからデジタル庁などというとぼけた発想になるのです。これを国家の危機と言わずして何というのでしょうか。(小川和久)

image by: Shutterstock.com

小川和久この著者の記事一覧

地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 NEWSを疑え! 』

【著者】 小川和久 【月額】 初月無料!月額999円(税込) 【発行周期】 毎週 月・木曜日発行予定

print
いま読まれてます

  • 18年前の指摘も放置。日本のサイバーセキュリティの危機的な現実
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け