軍事アナリストが嘆いた「タリバンと話せる日本人」が一人もいない現実

 

この佐々木さんの能力を惜しんで引き受けてくれたのが日本財団の笹川陽平さんと東京財団常務理事だった吹浦忠正さんでした。ハンセン病への取り組みで世界を飛び回ってきた笹川さんは人間関係の構築の重要性を理解しており、佐々木さんにも月に1回は中東への出張を命じ、人的ネットワークの拡大とメンテナンスをさせていたのです。

それから17年。アフガンでは中村哲さんの素晴らしい活動があったものの、その中村さんも凶弾に斃れ、アフガンで「オレとお前」の関係を構築してきた日本人はいなくなりました。やはり、日本にとっての最大の教訓は徹底した地域研究と人脈作りだと思わずにはいられません。

カナダのトルドー首相が2万人のアフガン人の受け入れを表明し、ドイツ軍も輸送機を出す一方、日本政府は十数人の大使館員と人道支援関係者の帰国のために自前の飛行機を出すこともなく、米国機に乗せてもらおうとの姿勢です。やはり、国の体をなしていないと言わざるを得ません。(小川和久)

image by: john smith 2021 / Shutterstock.com

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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