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高市首相なら日本は終焉。財政再建を潰す自民右派のトンデモ思想

29日に投開票が迫り、最終盤を迎えた自民党総裁選。当初は事実上、河野氏と岸田氏の一騎打ちとも見られていましたが、安倍前首相の強力な後押しを受けた高市早苗氏の猛追もあり、まさに激戦の様相を呈しています。この予測困難な総裁選の行方を占うのは、日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さん。津田さんは自身のメルマガ『国際戦略コラム有料版』で今回、決選投票となった際の「票の流れ」を読むとともに、総裁選後に行われる衆院選の見通しについても言及しています。

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自民党総裁選挙で、野党との差が見えなくなった

総裁選挙では4人が立候補しているが、野田さんは、出馬が遅れた影響が大きく、あまり票が集まらないようである。

高市さんは、安倍前首相の応援で票の上積みが起こり、党員票では岸田さんを抜く勢いになっているようだ。河野さんは党員票で圧倒的に優位であるとみられたが、あまりにも酷いネガティブキャンペーンで、党員票が目減りした感じを受ける。反対に、高市さんの応援団が嫌いな人も相当数いるようだ。

ということで、どうも、河野さん、岸田さん、高市さんの三者での争いになってきたが、1回目で過半数を超える人がいないようである。

決選投票は、1つに河野・岸田、2つに河野・高市、3つで岸田・高市の3つの組み合わせがあるが、1の場合は、高市さんの票が岸田さんに回るので、岸田優位になり、2の場合は高市さんの応援団を嫌うために、岸田さんの票が割れるので、河野さん優位になり、3の場合は、可能性としては低いと思うが、河野さんの票は岸田さんになり、岸田優位となる。

ということで、河野・高市での決選投票となると河野さんの芽が出てくる。他では、岸田さんが優位となる。

安倍さんの頑張りで、河野さんの芽があることになる。高市さんは河野さんより岸田さんの票を相当に食ってしまったと思える。

年金改革など、河野さんは50歳代以下の若者を意識した政策で、若者層を狙っているが、もし、河野首相になると、野党は改革を自民党に取られてしまい、苦戦になるような気がする。

というより、野党と自民党の差が見えないことが問題である。米国では、共和党の国民に干渉しない小さい政府対民主党の国民を保護する大きな政府という明確な相違点がある。

それに比べると右派の高市さんは、まるで民主党の左派オカシオ=コルテスさんと同じ主張(MMT賛成)をして、大きな政府指向である。自民党右派は米民主党左派と同じようでトンデモ思想という感じだ。

自民党右派は、財政再建の芽を潰し、バブル崩壊寸前の時代にその状況を酷くする人たちと見えてしまう。野党の同様であり、日本の終焉が近いように感じる。

中国に対応するスタンスも、野党は河野さんと同じようであり、野党と与党の差がない。特に両民主党との差を見つけずらい。

共産党との違いは、企業姿勢であるが、労働組合をバックにしている両民主党は自民党と同様である。ということで、自民党の河野さんと高市さんの違いの方が、野党と与党の差より大きい感じがする。

共産党は、非正規社員やそれ以下の人たちを代弁するので、自民党との違いが明確である。しかし、共産党支持層が大きくないことで、政権を取れない。

立憲民主党は、共産党と組むというが、主張の差が大きいので、労働組合は反発することになる。

総裁選挙後の衆議院選挙が面白くなってきた。河野さんだと野党は大変である。岸田さんであると年金改革をぶつけることができ、若者層の票を狙える。

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米中対立とTPP加盟申請

中国と台湾がTPP加盟申請をした。その前に英国がTPP加盟申請をしている。環太平洋経済連携であるが、英国の参加で世界規模の経済連携になると見える。

一方、米国はTPP加盟を拒否している。トランプ前大統領が米国一国主義で、保護貿易にシフトして製造業の復活を目指したからであるが、バイデン政権も同様な経済政策を継続して、米国の製造業復活を目指しているからである。その意味では米国一国主義である。

米国内では貧富の差が開いて、その差を解消しようとしている。主に巨大IT企業への増税と規制強化、製造業復活である。それと相似形で中国も「共同富裕」という政策で、貧富の差を解消しようとしている。

その取り組み方の差とは、資本主義内で取り組むバイデンと資本主義を捨てて、社会主義で取り組む習近平、同じような目標に対して、違う方法で行っている。

この2人は同じ目標点を目指している同志である。その感覚があり、バイデン大統領は、本気に中国対決とはならないようである。中国からの裏金の匂いもする。ということで、米中対決を望んでいない。

それに対して、どうも気になるのは、日本のタカ派評論家の強気な発言や高市さんの発言であり、米バイデン政権の目指している方向とは違う。尖閣への防衛は必要であるが、あくまでも防衛であり、対決を煽ることはない。

貧富の差拡大のそもそもの原因は、米国が中国に新自由主義的資本主義を押し込んだことで、米中は、どちらも貧富の差が拡大したのである。米国は富裕層の相続税を取る方向で検討しているが、富裕層への税金が少なかったことによる。

日本は新自由主義的資本主義を徹底しなかったことで、貧富の差は拡大したが大きな差ではなく、何とか自由貿易ができる資本主義の中での取組みで、解消を望めるレベルにいる。

英国は、新自由主義を徹底したことで、自国産業を破壊して、製造業を外資に頼る必要があり、このため、日本などの資本と技術の出し手を求めて、TPPに加盟してくるようである。

TPP自体が対中国戦略の中心として、米国が企画したが、ウッドロウ・ウィルソン米大統領が国際連盟を提案しながら、国際連盟に加盟しなかったように、このTPPに加盟をしていない。

中国の目的は、米国が加盟しない空きに、TPPの理念を中国に有利な方向にねじ曲げることである。アジアの盟主として、環太平洋を取り仕切りたいのであろう。

台湾は、中国が加盟すると、加盟できなくなるので急遽、加盟申請したようである。

というように、TPPにをめぐる駆け引きで、世界の今後が見えてくる。そのキー・ポイントは、貧富の差の解消方法である。日本も差の解消で、年金改革や所得税の改革などを行う必要があると見えている。世界的に富裕層の冬の時代が来る予感がする。

さあ、どうなりますか?

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image by: 自由民主党 - Home | Facebook

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