岸田文雄氏、高市早苗氏、河野太郎氏に加え野田聖子氏も立候補を表明し、ますます混戦の様相を呈してきた自民党総裁選。そんな中にあって、出馬を断念した石破茂氏、そして小泉進次郎氏が支持を打ち出した河野氏に注目が集まっています。突破力抜群の河野氏は、旧態依然とした党風を一新することができるのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、岸田氏と河野氏の政策面の違いを分析・解説しつつ、総裁選の行く末を推測。その上で、この戦いにおいて河野氏を中心とした地方と中堅・若手国会議員の「反乱」が起きることに大きな期待を寄せています。
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河野太郎氏は総理大臣にふさわしいか
自民党総裁選の前哨戦を見ていると、どの候補者も安倍前首相や麻生副総理の気を引こうと躍起になっている。これでは、何も変わらないではないか。
そう思っていたところへ、河野太郎氏が9月13日、衆院議員会館で石破茂氏と面談したというニュースが飛び込んできた。石破氏といえば、麻生内閣時代の2009年に「麻生おろし」の急先鋒だったことや、アンチ安倍的な言動で、安倍・麻生両氏に蛇蝎のごとく嫌われている。
河野氏のほうは、派閥のボスである麻生氏に会うため何日も連続で財務省の執務室を訪ね、安倍前首相への「傾向と対策」を聞いたうえで、9月8日に安倍氏と会談している。御大2人への気遣いたるや、相当なものだ。
会談後、記者団に囲まれた河野氏は「男系で続いてきているというのが、日本の天皇の一つのあり方なんだと思う」などと、安倍氏向けのメッセージを放って、女系天皇を認める方向だった自説をひとまず引っ込めた。
その河野氏が、わざわざ石破氏の事務所へ出向いたというのである。せっかくの安倍・麻生対策が水の泡ではないか、と他人事ながら心配したしだいだが、河野氏にはそれなりの成算があったようである。
この会談について、Abemaニュースで河野氏はこう語った。「議員会館内をまわっていると、石破さんがちょっと寄っていって、というので、うかがった」。そして、「もし私が総裁になったら、ぜひお力を貸してください」という趣旨の話をしたのだとか。
石破氏は、このころすでに、評論家、田原総一朗氏との電話で「僕は河野太郎君を応援する」と語っている。しかし、河野氏のほうは、石破氏と手を組むのかというような記者の質問に対し「応援してくれる人には応援してもらいたい」などと、安倍、麻生両氏の反感を買わないよう警戒していた。
それだけに、河野、石破会談のインパクトは強く、メディアのなかには、「安倍・麻生支配体制からの脱却か」と先走りする向きもあった。
たしかに、細田派、麻生派、竹下派など、どの派閥でも、衆院選の迫る今回の総裁選では、派閥の締めつけより、自分の集票にはねかえる“選挙の顔”選びを重視する空気が強い。派閥横断的に、中堅・若手議員の間では、河野支援の動きが目立つ。
河野氏は、安倍、麻生両氏のご機嫌をうかがっているだけでは、上滑りになる危険性を感じたに違いない。両氏は、最終的には岸田氏側につきそうな気配だ。
河野氏は、石破氏との共闘で地方の党員、党友票をより多く獲得し、1回目の投票で一気に決着をつけてしまおうと考えたのだろう。石破氏が出馬すれば地方票が割れるが、思いとどまれば、河野氏が他の候補者を大きく引き離せる。
もし、上位2人の決選投票にもつれこむなら、383の国会議員票と47の都道府県連票で競うことになり、国会議員票への影響力がある実力者の意向がものをいう。高市早苗氏を担ぎ、票を分散させ、決選投票でキングメーカーの本領を発揮したい安倍氏の思う壺だ。
石破氏にしても、負け戦を避け、河野支援にまわりたいのが本音だった。つまり、石破氏は出馬するかどうか逡巡する風を装いつつ、河野氏を待ち構えていたのである。おそらく、電話で打ち合わせをして、あたかも偶然のように会ったのではないか。
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